第6回播磨肺高血圧症セミナーに参加して

10月27日に加古川で行われました、播磨肺高血圧症セミナーに参加しました。

肺高血圧症の1/4は膠原病関連の肺高血圧症である。IPAHは100万人に12人と非常にまれであり、すべての方をスクリーニングすることは無理であるが、CTD-PAHは100人に12人と高頻度であり、全例をスクリーニングすることが可能である。膠原病の早期診断が大切であり、全身性硬化症では皮膚硬化が起こってからではなく、手指腫脹の状態で診断がしないといけない。レイノー現象をきたす人がすべて強皮症や混合性結合組織病ではなく、ごく一部の人が膠原病である。レイノー現象があり、抗核抗体陽性もしくは爪郭上皮毛細血管異常があれば強皮症の可能性が非常に高い。強皮症では、1/3の症例で肺、心臓、消化管のどれかに変化があるため,診断されれば全例スクリーニングし、症状が出る前に治療を開始することが大切である。全身性硬化症の診断は、2013年の分類基準にもとづき診断すると早期診断が可能

%e5%bc%b7%e7%9a%ae%e7%97%87%e8%a8%ba%e6%96%ad%e5%9f%ba%e6%ba%96

全身性硬化症は、線維化、循環障害、免疫異常の3つの項目について評価し診断する。爪郭毛細血管異常があると膠原病である可能性が非常に高く、肺高血圧症と関連がある。セントロメア抗体陽性、U1RNP抗体陽性でじゃ肺高血圧症をきたしやすく、後者では免疫抑制剤が効果があり、前者では発症後10〜20年で肺高血圧症が発症し、免疫抑制剤の効果は期待できない。肺高血圧症の診断は、PA圧25以上となっているが、全く根拠がない。肺動脈圧は25未満の19〜24でも死亡率は圧の上昇とともに上昇しており、19〜24でも正常として放置していいとはいえない。将来は19以上が診断基準となる可能性もある。強皮症患者さんは28°で血管血流が低下する。喘息と同じように血管は通常状態でも血管壁が肥厚して内腔が狭くなっているため、少しの温度変化で大きな影響を受ける。血流低下が起こると繊維化も進行するため予防が大切であり、レイノー減少がみられたら全身を温めることが大切である。禁煙、保温に留意し、レイノーが起きればできるだけ短時間で改善するように対応しないといけない。生活習慣の改善が大切である。肺高血圧症を疑い、右心カテを行うかどうかの判断として、心エコーでは80%ルールがあり、80%の偽陽性、感度80%であり、心エコーで肺動脈圧上昇と判断されても正常のことがあり、心エコーで正常と判断されても肺高血圧症のことがあり、できれば全例右心カテをすることが望ましい。DETECT studyにて各種データを入力すると肺高血圧症があるかないか判断できる。肺高血圧症の治療において、膠原病では間質性肺炎、CTEPH、左心不全が合併してることがあり、しっかりと除外診断をしてから治療開始しないと肺水腫をきたし悪化することがある。治療薬としては、NO系、PGI2系、エンドセリン系の3種があり、内服薬は膠原病の他の症状にどのように効果があるかを考えて選択する必要がある。エンドセリンにより線維化が促進されることから、トラクリアでは線維化が押さえられる。