関節リウマチは経口薬だけで治る時代へ

トファチニブ(ゼルヤンツ)は、米国で2012年11月に世界で初めて承認された経口のJAK阻害薬で、日本でも2013年に薬価収載されています。細胞質内チロシンキナーゼ、複数の炎症性サイトカインのシグナル伝達にかかわるJAKファミリーを阻害する薬剤です。

リウマトレックスと呼ばれるアンカードラッグが使用できるようになってかなりリウマチのコントロールができるようになっていましたが、まだまだリウマトレックス抵抗性の患者さんはたくさんおられ、治療に難渋していました。レミケードやエンブレルなどの生物学的製剤が登場して、関節リウマチの治療は劇的に変わりました。関節リウマチの活動性をコントロールするというレベルではなく、治してしまう(寛解)を目指すことができるようになりました。

ゼルヤンツはこれまでの大規模臨床試験において、レミケードやエンブレルなどの生物学的製剤に匹敵する有効性と、効果発現の早さが示されています。生物学的製剤無効例においても有効性が期待でき、点滴や皮下注射ではなく経口薬であるという特長を有しています。

現在日本では、市販後前例調査中であり、リウマチと診断された患者さんがどなたでも使用できるわけではありません。

MTX8mg/週を超える用量を3ヶ月以上継続使用してもコントロール不良の患者さんに限定されています。これは、副作用が多く見られるためで、415例中133例で副作用がみられ、重篤な副作用は33例であり、帯状疱疹や肺炎などの感染症が多く、4例で死亡がみられ従来の生物学的製剤よりも多くみられています。今後、十分な臨床での使用経験が蓄積されれば、生物学的製剤よりも先行して使用されるようになり、経口薬だけで治る時代がやってくると思われます。

 

ゼルヤンツによる治療は当院でも可能です。上記のような条件があり、まだまだ高額な薬剤ですが興味を持たれましたらご相談ください。