Psoriatic Arthritis & IL17A Forumに参加して

6月10日(土)大阪で開催されましたPsoriatic Arthritis & IL17A Forumに参加しました

乾癬は日本で約42万人、その内関節症性乾癬(PsA)はリウマチ医では14.3%、皮膚科医では10%と報告されており、日本で約5〜6万人と推定される。このうち体軸性病変を有するのは約30%。PsAの発症パターンとして、皮膚先行84%、関節症状先行3.1%、同時発症12.7%。PsAの診断は2006年に提唱されたCASPAR分類基準に基づいて実施する

乾癬性関節炎の分類基準(CASPAR) (2006年)

(感度98.7%、特異度91.4%)

炎症性の関節疾患(関節炎、脊椎炎、もしくは付着部炎)を有する方で、下記の各項目を1点として3点以上の場合に乾癬性関節炎と分類(診断)します:

  1. 現在乾癬にかかっている*、または過去に乾癬があった、
    または兄弟姉妹や両親、祖父母に乾癬の方がいる
  2. 典型的な乾癬の爪病変(爪剥離症、陥凹、過角化)がある
  3. リウマトイド因子という血液検査が陰性
  4. 指全体が腫れる指炎がある(あった)
  5. 手、足のX線検査で特徴的な所見(関節近傍の新骨形成)がある

*現在乾癬にかかっている場合は2点とします。

乾癬の既往、家族歴、典型的な爪病変(点状陥凹、爪剥離、過角化)、リウマトイド因子陰性、指炎、レントゲンでの関節近傍の骨新生像にて評価する。皮疹については、頭部、臀部などが診断しやすく、脂漏性湿疹との違いは、生え際を超えるかどうかである。鑑別診断としては、RA、OA、AS等があげられ、PsAは関節付着部に炎症があることが特徴である。死因では、心血管疾患が一般の1.6〜1.8倍と効率であり、メタボリックシンドロームを呈することがあり、Psoriatic marchと呼ばれている。抗CCP抗体が陽性となることがある。

IL-17Aが乾癬に関与しており、阻害するセクキヌマブが有効。IL-17Aは自閉症でも上昇している。IL-17の産生細胞はTh17だけではなく、γδTcell、NKTcell、Mastcellなどもあり、感染制御、腸管のバリアなどに関与している。特にブドウ球菌や大腸菌に関係している。IL-17阻害薬は結核菌感染増加には影響せず、潜在性感染の再活性化もきたさない。メリットとしては、皮膚病変に効果が高く、関節病変にも効果あり、MTXの併用は必要ない。デメリットしては、IBDの悪化、カンジダ感染、自殺企図、注射部位反応などがある。

感染は皮膚の炎症性角化症であり、アトピーは瘢痕を残すが、感染の皮診はリモデリングを起こさず治癒し、皮膚病変は可逆的である。QOLも可逆的である。皮膚病変の治療として、MTXが現在未承認であるが公知申請中。TNF阻害薬、IL-12/23阻害薬、IL17A阻害薬、IL-17受容体抗体、ステロイド/ビタミンD3合剤外用薬、PDE4阻害薬、シクロスポリンなどが使用可能である。短期的にはシクロスポリンはかゆみには効果があり、150mg/日で投与、チガソン10mg/日を投与して、効果がなければPDE4阻害薬(アプレミラスト)に変更。bioを使用する前に、PDE4阻害薬を使用していることが多い。

ルミセフは関節炎には効果なく、ステラーラも関節炎にはあまり効果ない。コセンティクス、トルツは関節炎にも効果あり。