10月1日からインフルエンザワクチン接種開始

予定通り10月1日から一般の方のインフルエンザワクチンの接種を開始します。

料金は、3241円(消費税込 3500円)昨年よりも少し安く設定しています。

ワクチンは一度開封すると24時間以内に使用しないといけません。ただ、今年度は2人用のワクチンしか製造されないため、その日に一人しか接種する方がおられないと一人分は破棄することになりロスが出ます。昨年度は12月になると接種する方が減りロスがありました。そこで、10月11月は昨年よりも安く設定しいますが、ロスの出やすい12月は、3889円(消費税込 4200円)と高く設定しております。できるだけ11月末までに接種するようにお願いいたします。

第13回兵庫県感染症セミナーに参加して

9月15日に神戸で開かれました『兵庫県感染症セミナー』に参加しました。

今回のテーマは、尿路・性感染症でした。

教育講演では、尿路・性感染症における抗菌薬の使い方についての講演でした。投与経路としては、経口と注射であり、軽症では外来での経口薬による治療。尿路感染症の治療を行う場合には、血中濃度、組織移行性、尿路から膀胱組織への移行性を考慮して使用する必要がある。経口薬の場合は、吸収に食事の影響が出るため、それぞれの薬剤が空腹時、食前、食後のどの時に最も血中濃度が上がりやすいかに注意が必要。単純性と基礎疾患のある複雑性、重症度により分類し抗菌薬選択をする。単純性はほとんどが大腸菌であるが、最近はESBLも含まれており注意が必要。複雑性になると、緑膿菌や腸球菌等いろいろな菌が増えてくるため、グラム染色、培養を実施し、エンピリック治療を開始し、培養結果と感受性結果を見てデエスカレーションを実施する。

特別講演は、アトラスで見るこれが性感染症だと題名通り、さまざまな実例のアトラスを提示しわかりやすく説明していただきました。

梅毒は、2011年以降増加しており、現在はアウトブレイク状態。2015年は2000人台であったが、2016年は8月ですでに昨年を上回っており3000人を超える勢いである。東京が全体の40%を占めており、次いで大阪、神奈川続いている。兵庫県は7位。男性は、20〜40才代、女性は20〜24才が多い。2011年までは、同性間接触による感染が多かったが、最近は異性間接触による感染が多くなり、同性間接触よりも多くなっている。20〜24才の女性が多いことから、先天梅毒の報告も多くなっている。最近梅毒が増えている原因は明確には分からないが、訪日する中国人の増加が一因となっている可能性もある。中国での梅毒患者は、43万人、死亡58人。中国は日本の人口の10倍であるが、梅毒患者は300倍である。初期症状としては、初期硬結、硬性下疳、無痛性横痃がある。硬性下疳は、周囲が軟骨のように硬いびらんおよび潰瘍が見られるが、疼痛は伴わないのが特徴、2〜3週で自然消失する。これらはトレポネーマの進入部位にみられ、性器外にも2〜3%にみられ口唇に見られることもある。第2期はバラ疹がみられ、鱗屑を伴わない紅斑であり、手のひらと足の裏に両方見られれば梅毒と診断できる。肛門に扁平コンジローマがみられ、これらにはトレポネーマが非常に多く感染源として注意が必要。こく腔粘膜にバタフライアピアランスとよばれる白斑が見られることがある。第3期には、結節性梅毒疹、ゴム種がみられる。HIVが基礎にあると悪性梅毒となり重篤になる。HIV感染が増加しているため神経梅毒も多くなっている。

クラミジア感染症は10〜20才、女性が男性の2倍。感染ご1〜3週後に、尿道より漿液性の浸出液がみられるが、約半分は無症状で、女性の場合は70〜80%は無症状。

淋菌感染症は、男性の方が多く、症状もきつい。20才代の多く排尿初期に痛みがあるのが特徴である。尿道より排膿がみられる。

これらはともに、女性では不妊、子宮外妊娠等の原因になる。

淋菌、クラミジアによる咽頭感染では、90%が症状が見られない。淋菌は咽頭感染が多く、クラミジアは咽頭は少なく性器感染が多い。

性器ヘルペスは、小傷より進入し神経に感染し再活性化時にパートナーに感染させることになる。初感染は左右対称性のびらんがあり、帯状疱疹との鑑別が問題となる。性器ヘルペスは症状が激しく、I型ヘルペスウイルスによるものが多い。

東播磨 高齢者の肺炎予防勉強会に参加して

9月13日加古川で行われました『東播磨 高齢者の肺炎予防勉強会』に参加しました。

現在日本人の死因の第3位が肺炎である。ほとんどが65才以上の高齢者であり、高齢者が肺炎を起こすとADLが低下し、廃用症候群となる。肺炎は1週間で治癒するがADLの低下は改善せず、寝たきりとなり嚥下機能の低下につながり誤嚥性肺炎を繰り返す負のスパイラルに入る。一時は胃瘻などの経管栄養を積極的に行っていたが、経管栄養では誤嚥性肺炎は防げない。繰り返す肺炎を起こす状態はすなわち老衰であり、肺炎を治療しても肺炎を起こしやすい老衰状態を直すことはできない。ターミナルケア肺炎とよばれ予防する手立てがない状態である。ターミナルケア肺炎では、何をしても助けることはできないため、抗菌薬を繰り返し使用することによる耐性菌の出現も問題となっており、抗菌薬を使用しないという選択肢も考慮すべきである。高齢者が一旦肺炎を起こすと、負のスパイラルに入ってしまうため、肺炎を予防することが大切である。健康寿命を伸ばすためには、健康寿命を縮める病気を予防すること大切である。高齢者の肺炎の起因菌の第一は肺炎球菌であり、64歳未満と65歳以上ではその罹患率は5倍以上、75才以上では10倍以上に増加する。肺炎予防のため65才以上の方に肺炎球菌ワクチンを接種が定期接種として開始されている。日本で使用可能な肺炎球菌ワクチンは2種類あり、現在公費負担の対象となっているニューモバックスと対象となっていないプレベナーがある。ニューモバックスは多糖体ワクチンであり、免疫原性が低くB細胞を直接活性化して抗体産生を誘導するが、免疫記憶ができないため5年ごとの接種が必要である。ただ、血清型は23価あり、多くの血清型に効果が期待できる。プレベナーはキャリア蛋白をつけた結合型ワクチンであり、樹状細胞を活性化し、T細胞活性化を介してB細胞の活性化を誘導し、抗体産生を誘導さらにメモリーB細胞を誘導し免疫記憶が確立されるため、1回の接種で効果が持続する。プレベナーは小児の定期接種となり、その後肺炎球菌による髄膜炎が劇的に減少した。また、子供は保育園などの集団生活を始めると肺炎球菌、インフルエンザ菌の保菌が見られるようになるが、子供の肺炎球菌の保菌を減らす効果もある。高齢者の肺炎の起因菌の第一は肺炎球菌であり、64歳未満と65歳以上ではその罹患率は5倍以上、75才以上では10倍以上に増加する。なぜ高齢者で肺炎球菌肺炎が多くなるのか?原因菌の肺炎球菌はどこから運ばれてくるのか?菌を保菌している孫と接触することにより、孫の保菌している肺炎球菌が感染して肺炎をきたしている。子供の肺炎球菌ワクチンが定期接種となり、肺炎球菌による髄膜炎が減ったが、それに伴い高齢者の侵襲性肺炎球菌肺炎も間接的に減っている。これは、プレベナーにより、子供の肺炎球菌の保菌数が減ることにより、高齢者への感染を減らした間接効果である。

ニューモバックスとプレベナーはどのように使用すればいいか?どちらが効果がいいか?日本において、65才以上の健康な方にニューモバックスを接種して肺炎球菌肺炎が予防できるかを調査すると、効果がある人もいるが効果がない人の方が多いため全体としてみると効果がない。海外の研究ではあるが、プレベナーを65才以上の方に接種すると、市中肺炎が46%減少し、侵襲性肺炎球菌肺炎は75%減少した。アメリカでは、それまでニューモバックスが定期接種のワクチンとして推奨されていたが、このデータをもとに65才以上の方でワクチン接種歴のない方はプレベナーを接種し、1年以上あけてからニューモバックスを接種、ニューモバックスを接種したことがある方は、1年以上開けてからプレベナーを接種することを勧めている。どちらを先にうつ方が効果があるかを見ると、プレベナーを先に接種し、あとでニューモバックスを接種した方が、反対の順番で接種するよりも予防効果が高まる。プレベナーを接種して、強い抗体産生を誘導して、その後23価のニューモバックスを接種して多くの血清型に反応するようにすることが高い効果が期待できると考えられる。肺炎の入院費は約70万円かかる、医療経済的にもワクチン接種にて肺炎を予防することが大切であり、特にリスクの高い気管支喘息、糖尿病、慢性腎不全、COPD、心不全などの方は積極的に肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種することが必要である。患者さんが肺炎球菌ワクチンを摂取したきっかけは、医師の勧めが第一の理由であるため、我々臨床医が患者さんに積極的に肺炎予防のため、健康寿命を延ばすために肺炎球菌ワクチンをストップ肺炎をめざして勧めるようにすべきである。

麻疹予防への注意喚起

麻疹(はしか)の患者さんが相次いで発生しているため、日本産婦人科学会は妊婦やその家族に対しての注意事項をホームページに掲載しています。妊娠中に罹患すると流産・死産がの発生があることや、発育障害があるため、罹患しないように発生地域への外出を控えるように注意喚起しています。

麻疹(はしか)が疑われる方は、直接医療機関を受診せず、まえもって連絡をした上でその後の対応を相談してください。待合室などの同じ空間にいた人に感染を広めてしまいます。入り口や待合を感染に分離して、空調管理の整った隔離室での対応が必要となります。兵庫県内では尼崎で麻疹の報告があります。麻疹の報告があった地域への外出があり、カタル症状、高熱、発疹などがあれば可能性は非常に高いです。

マスクをしているだけでは感染予防はできません。ワクチン接種しか予防効果を発揮しません。

妊娠を予定している方やその家族の方は積極的にワクチン接種を勧めています。

10月1日よりインフルエンザワクチン接種開始します

そろそろインフルエンザワクチン接種の時期になってきました。昨年度は、インフルエンザ脳症にてなくなられた方がかなりおられました。昨年度は10月15日からワクチンの接種を開始していましたが、そのときにすでにインフルエンザがぽつぽつと報告されていましたので、本年度は少し早めて10月1日から接種を開始します。インフルエンザの発症を予防することはできませんが、重症化、特に脳症などを予防してくれるのはワクチンだけです。受験生の方、妊娠をされている方、糖尿病や関節リウマチなどで抵抗力の低下しておられる方は積極的に接種されることをお勧めします。

予約制ではなく、当日受付にてワクチン接種希望を申し出ていただければ結構です。

ただし、高齢者の方で公費負担のある方は10月15日からしか接種できませんのでご注意ください。