第16回日本実地医家消化器内視鏡研究会に参加して

6月19日京都で行われました日本実地医家消化器内視鏡研究会に参加しました。

胃癌ABC検診が全国的に行われているが、ピロリ菌陽性判定の血清ピロリ抗体キットがEプレートからラテックス法に変更となり、陰性高値の設定がなく不一致がみられる。本年3月に和光からラッテクス法による新しいキットが発売となり、陰性高値の設定は不要であり従来よりも短時間での測定が可能となり、感度特異度も極めて高いため今後のABC検診に有効となる可能性あり。

胃癌リスクを評価するための分類とスコア化および内視鏡的胃炎の記載方法について胃炎の京都分類が策定された。RAC、胃底腺ポリープ、稜線上発赤、ヘマチン付着、びまん性発赤、鳥肌、襞腫大、地図状発赤などの所見により、現感染(慢性活動性胃炎)、既感染(慢性非活動性胃炎)、未感染(正常胃)に分類記載する。

ピロリ菌が胃癌のリスクであり、除菌により胃癌が1/3に予防できる。最近のメタアナリシスではNNTは124であり、1人の胃癌を予防するためには124人の除菌が必要である。除菌だけでは完全に予防できず、定期的な胃内視鏡検査による胃癌検診が必要である。胃X線でも慢性胃炎の評価を行い、胃癌疑いのチェックだけでなく、胃癌のリスクとしての慢性胃炎を拾い上げることが必要である。

京都府では、胃癌撲滅のため高校1年生全例にピロリ菌除菌を無料で行うことに取り組んでいる。尿中抗体、便中抗原にて確認すると、約4〜6%でピロリ菌陽性。除菌は除菌率の高い二次除菌製剤にて実施している。

2015年胃がん検診ガイドラインが改定となり、対象年齢が40歳から50歳に引き上げられ、検診間隔は2年間が基本、X線検査に加えて胃内視鏡検査での検診も可能となった。2年に1回でも胃がんによる死亡率の上昇がないことから2年間隔となっている。検診マニュアルでは、胃内視鏡検査は日本内視鏡学会専門医の資格を持った医師が実施、鎮静剤の使用は不可、ダブルチェックが必要等の規定あり