10月6日神戸で開催されました上記講演会に参加しました
高齢化社会とPPI 適切な軟分泌のコントロールを求めて
GERDは年齢とともに増加しており、ピロリ菌感染の減少に伴い、潰瘍が減少しGERDが増加している。GERD治療の目的は、症状のコントロールとQOLの改善である。GERD治療のフローチャートでは治療はPPIが中心であるが、H2RAでは50%しか改善しないのに対してPPIでは90%改善する報告があるためである。GERDはPPIを中止すると6ヶ月で約90%が再発する。なぜ再発するのか?胃酸分泌亢進、下部食道括約筋機能低下、食道クリアランスなどの因子は個人によって特有のものであり、簡単には変わらないため再発する。そのため、生活習慣の改善をすることによって改善が期待できる。GERDのgradeは約70%は変化しない。PPIを服用すると約80%は再発を予防できる。間欠療法では、50%程しかコントロールできない。日本人は軽症GERDが約90%であり、GERDの重症度と症状はあまり相関しない。GERDよりNERDの方が多く、内視鏡所見よりも症状のコントロールが重要である。再発しやすいGERDは、HP陰性、若年者、肥満、腹痛の存在、5年以上持続しているがあり、項目が多いほど再発しやすい。長期の酸分泌抑制が必要となる病態は、GERDと低容量アスピリンもしくはNDAID服用である。NSAIDは、PGE2を阻害することにより、粘膜障害をきたし胃酸分泌亢進をきたすため、HP陽性でNSAID服用すると、HP陰性の健常人より約60倍胃潰瘍になりやすい。ACS治療において、消化管出血をきたすと生命予後が悪くなる。消化性潰瘍による死亡は年々減少しているが、1990年以降は横ばいであり、高齢化によりアスピリン低容量やNSAID服用者が増加していることによる。NSAI服用すると1年間で30%に胃潰瘍が出現し、PPIを服用すると発生が4%に減らせる。低容量アスピリンでは、1年間に20%に胃潰瘍が出現し、PPIにて発生は0%に減らせる。1970年と1990年を比較すると酸分泌能は上昇しているが、その後は横ばいである。GERDは生命を脅かす疾患ではなく、安全性が最も重要である。PPIを長期間服用することによる副作用としては、胃酸を抑制することによる副作用があり注意が必要。