第5回RAとIL-6研究会に参加して

10月17日東京で行われました第5会RAとIL-6研究会に参加しました。

最近では関節リウマチの約半分が寛解に導入できる様になってきた。寛解の後はどうするかが今後の課題である。寛解維持ができなくなるのは、DAS28、寛解維持中のMTXの減量が因子としてあげられる。バイオ使用中で、ステロイド中止、MTX中止でも寛解維持には影響がない。むしろ、ステロイド中止群やMTX中止群の方がバイオの継続率が高い。世界的に見ると、約30%はバイオをモノテラピーで使用している。バイオフリーについては、約半数は1年間中止継続できているが、その後については十分な情報がない。投与間隔の延長も選択肢として考えられる。RAの骨折数は減っていない。椎体骨折は、高齢、JHAQ高値、ステロイド服用、大腿骨近位部骨折は、年齢、JHAQ高値、TKAの有無が要因としてあげられる。入院加療となる理由としては、呼吸器感染症、骨折などがあげられる。

アクテムラ皮下注使用成績については、点滴製剤と大きな差はなく、消化管穿孔や心不全については、1年目にやや多く見られたが、増加することはなかった。

csDMARDの使用法として、マイコバクテリウムアブセスの時でも、免疫抑制のないイグラチモドは使用可能であり、透析患者でも使用可能である。MTX使用できない症例でのcsDMARDとしてはイグラチモドがよいのではないか?バイオ効果不十分例にイグラチモドを追加併用することにより寛解導入が可能となることがある。バイオレスキューにはタクロリムスが有効である。トラフ値が高いとDAS寛解率が高い。バイオフリーとバイオレスキューにはタクロリムスが有効である。バイオフリーを導入するにあたっては、csDMARDを3剤併用することにより達成しやすい。ENTからTCZへのスイッチの時に、TCZの効果発揮までのタイムラグがあり、そのときにPSLを短期追加すると有効である。

2016 EULRA recommendationにおいて、MTX-IRでは予後不良因子があれば、bDMARDもしくはJAK阻害薬が推奨されている。ADACT studyでは、MTX-intolerance においてTCZがADAよりも有効性が高いことが示された。日本のSURPRISE studyでは、MTX-IRに対して、TCZをadd-on群とTCZへのswitch群で比較すると、6ヶ月後の寛解はadd-onで70%、awitchで55%。1年ではこの差がなくなりキャッチアップされる。mTSSで見ると、構造的寛解は66%と64%、悪化したCRRPは7%と15%であり、add-onの方が構造的かんかんを達成しやすい。しかし、副作用はadd-on群の方がawitch群よりも多く、MTXを中止する方が安全性は高い。以上から、MTX-IRでは、6ヶ月間はTCZ+MTXで治療し、寛解が導入されればMTXを中止するのがよいと思われる。csDMARDが併用できない患者でのバイオは、IL-6阻害薬とJAC阻害薬がアドバンテージがある。TNF-failureに対する次のバイオは?2ndバイオは、TNF製剤よりも、non-TNF製剤の方が有効性が高い。現時点での第一DMARDは?U-Act-Eary studyでは、80-90%が感慨に導入され、TCZ+MTX、TCZ単独は、MTX単独よりも有効性が高い。TCZ単独は、TCZ+MTXとほぼ同等である。医療経済を考えなければ、全例バイオでスタートするのがベスト。