10月1日から高齢者インフルエンザワクチン開始

65才以上の方のインフルエンザワクチンは、厚生労働大臣から発表がありましたように、10月1日から開始となります。例年よりも早く開始となっています。

健康保険証などのご本人が確認できるものをご持参の上受診してください。

播磨町、加古川市、稲美町、明石市の方は当院にて接種して頂けます。

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチン接種は、昨年と同様の価格3,700円(税込み、税抜き3,364円)で実施します。昨年同様に12月から4,200円(税込み、税抜き3,819円)です。9月下旬にはワクチンが入荷する予定ですので、10月1日から開始予定です。早ければ9月下旬には開始できるかもしれません。高齢者の方は10月1日からの予定です。

予約制ではありません。直接お越しいただければ接種できますです。お問い合わせのお電話はできるだけお控えください。

65歳未満の方は、インフルエンザワクチン問診票を印刷して、当日ご自宅で検温をして、体温を記載してご持参頂ければ、待ち時間が短縮でき、密を避けることができます。

65歳以上の方は、費用の一部免除があり別の用紙になりますのでご注意ください。クリニックに用紙を置いていますので、持ち帰って自宅で記載してください。

下記の説明内容をしっかりとお読みください。

上記内容を確認の上、接種を希望される場合は以下の予診票を直接クリックして印刷し、必要事項を記載して持参してください。当日、自宅で検温をして体温を記入してください

インフルエンザワクチン入荷次第開始します

本年度は、新型コロナウイルスと同時流行の可能性があり、インフルエンザワクチンを早期に接種して頂くことをおすすめします。発熱時で受診された場合、インフルエンザ迅速検査を行うためには、新型コロナウイルスの感染防止対策(患者さんの動線を分ける、防護服等を着用するなど)をとって実施する必要があり、クリニックの通常診療では困難です。新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの症状は似ているため、症状だけでは区別できません。インフルエンザの流行を押さえるためにも、できるだけたくさんの方に接種していただければと思います。

インフルエンザ接種が始まるとクリニック待合がかなり混雑します。密を避けるために、問診票を自宅で記載して来院していただけると、時間短縮になります。クリニックに用紙を用意していますので、自宅に持って帰って記載し当日来院前に検温をして持参してください。

予約制ではありません。予約の問い合わせのお電話は控えてください。

65才以上の方のインフルエンザワクチンは、開始日時がまだ決定していません。開始日までに接種を希望される場合は、全額自費になりますのでご注意ください。


新型コロナウイルス対策

当院では、新型コロナウイルス対策として、職員のマスク着用、手すりや椅子などの頻回のアルコール消毒、アルコール消毒液の設置、換気、受付や処置室のアクリル板設置を実施しています。新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスをはじめ、種々のウイルスや細菌の殺菌作効果がある『エアロピュア』を待合室、診察室、内視鏡室に設置しエアロゾルによる感染、飛沫感染等の予防対策を行っています。発熱のある方などは、呼び出しベルをお渡しして自家用車内でお待ち頂き、通常の患者さんとの接触を避ける対策を行っています。

テレビ等でも話題となりました深紫外線C波を搭載した『エアロピュア』を設置しています。深紫外線C波は、細菌やウイルスなどの殺菌効果があり、通常の紫外線とは異なり人体に影響がなく、人がいる場所でも使用可能です。将来手洗いや消毒の概念が変わるのではないかと言われています。エアロピュアは、この深紫外線C波を発生させるLEDを搭載した空気清浄機で、新型コロナウイルスへの効果が確認されています。

マスク着用に御協力お願いします

梅雨入りし暑い日が続きます。

兵庫県では新型コロナウイルスの新規発生がありませんが、まだまだ予断を許しません。感染予防のためクリニック建物内ではマスクを着用していたきますようお願いします。

また、待合室の混雑をさけるため、予約システムを利用してできるだけ予約をして受診いたきますようお願いします。予約されていない方も、予約状況を確認していただくと待合室の混雑状況がある程度確認できます。予約の多い場合は、受診を控えていただくなど待合室混雑回避に御協力お願いします。

特定健診受託運営に係る規定概要

① 受託事業実施機関名:おおた内科クリニック

② 事業の目的・運営方針:高齢者医療確保法に定める特定健診の目的のため、その検診項目を実施し、報告等を行う

③ 従業者の職種・員数・職務内容:医師1名、看護師4名、受付4名

④ 特定健診の実施日および実施時間:契約保険者の指定する日程のうち、当院の診療時間内

⑤ 事業の実施地域:加古川市・加古郡稲美町・加古郡播磨町

⑥ 緊急時における対応:院内対応および地域内関係医療機関と連携

⑦ その他運営に関する重要事項:空腹時受診を原則、血液検査等は加古川総合保健センターに委託

施設基準等について

基本診療料にかかる施設基準

  • 夜間・早朝等加算
  • 明細書発行体制等加算

労災保険指定医療機関

難病指定医療機関

生活保護および中国人残留邦人等支援指定医療機関

被爆者一般疾病指定医療機関

結核指定医療機関

明けましておめでとうございます

1月4日から通常診療を開始しています。

昨年末からインフルエンザA型がかなり流行しています。発熱のある方は、インフルエンザの可能性があります。インフルエンザが重篤化するような基礎疾患(例えば肺気腫、心不全、腎不全など)のない方は、基本的には対症療法薬を使用し、自宅安静をしていただくことで自然に治癒します。インフルエンザ薬の効果としては対症療法薬よりも熱が1日程度早く下がることです。インフルエンザ薬を使用することで免疫ができず、毎年のようにインフルエンザにかかりやすくなる可能性があります。対症療法薬でしっかりと免疫をつけることも大切です。

発熱や咳嗽がある時に医療機関を受診したり、外出する時は必ずマスクを着用し、咳エチケットを守ってください。

シンポニー潰瘍性大腸炎効能追加1年講演会に参加して

10月13日神戸で開催された上記講演会に参加しました。

2018年3月に改訂された潰瘍性大腸炎治療指針もとづき、潰瘍性大腸炎の治療は、全例に5-ASA製剤を使用→ステロイドを使用→G-CAP、チオプリン製剤使用→TNFα製剤→手術

治療効果はMayoスコアにて判定する

TNFα製剤を使用するときには、単独では使用せずAZPの併用を原則とする。抗製剤抗体の産生を予防し、二次無効を防ぎ長期的な治療継続をするために併用が原則。3剤はどのように使い分けるか?
インフリキシマブ(レミケード)は投与2週目で効果が認められ、投与6週目で30%に効果あり、30%は全く効果なしとなり、投与2週でリスポンダーかノンリスポンダーかを判断できる。CyAやTAC使用歴があると効きにくい。寛解維持には、免疫調整薬の併用が必要であり、非併用では継続率が低下する。クローン病ではTNFα製剤を中止すると半数で再燃するが、潰瘍性大腸炎では寛解になると中止しても再燃しにくい。TNFα製剤を中止するとステロイド追加により改善する程度の軽度の再燃はあるが、2年以上継続していると中止しても再燃しにくい。内視鏡的Mayoスコアが0点であると中止しても86%は寛解維持できる。同じ寛解にあたる1点では再燃しやすい。6週での寛解率は59%、寛解症例での3年寛解維持率は59%、チオプリンを併用すると長期寛解が維持できる。
アダリムマブ(ヒュミラ)は4週での寛解は50%程度、CyAやTACの使用、PSL使用、インフリキシマブ一次無効は効かない。PSL非併用では寛解は70%、併用では36%。CyAとTACの使用歴があると、寛解率は14%、使用歴がないと67%。インフリキマブ一次無効では、寛解率0%であり、一次無効例の変更は無意味。クローン病では、TNFα製剤の変更で効果がある場合がみられるが、UCでは一次無効であればTNFα製剤間での変更は無意味。4年では寛解は約4人に1人。アダリムマブは活動性が高いと効果が不十分であり、増量が必要と考えられる。
ゴリムマブ(シンポニー)は寛解率は23%とやや低い。TNFα製剤の使用歴でも寛解率大きな差はなく、CyAとTACの使用歴による寛解率に差はみられない。抗ゴリムマブ抗体の発現率は2.9%と低く、抗原性制御のためチオプリンの併用が必要かどうかについては検討が必要。長期的に使用するのであればやはり必要と考えられるが、潰瘍性大腸炎ではクローン病ほど長期的な使用にならない可能性があり、併用の必要性についてはまだ確定していない。
トファチニブ(ゼルヤンツ)は寛解導入は56%、粘膜治癒率は30%と高く、TNFα製剤が無効な例でも有効性が高い。副作用として、悪性腫瘍、帯状疱疹が問題である。
ベドリズマブ(エンタイビオ)はMAd-CAM-1に対する抗体であり、腸管に浸潤するリンパ球の遊走をブロック、寛解率は早期では16.9%と低いが、1年では41.8%と徐々にあがってくる。高い長期の安全性があり、チオプリンの併用が困難、抗TNFα製剤の使用が困難などの症例には第一選択薬としての位置づけも考えられる。

抗不安薬・睡眠薬の処方について

4月からの診療報酬改定についての発表によりますと、12ヶ月以上ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を長期にわたって継続して処方している場合に処方料が減額されることが決まりました

睡眠薬の処方頻度が高まる中、 一部の患者でみられる長期服時依存(耐性、離脱、高容量 、多剤併用 )や乱用 (加療服用など)が社会問題化しています。睡眠薬や抗不安薬が、薬物依存等の原因薬物となっており、ベンゾジアゼピン受容体作動薬が原因薬物の上位を占めていることから、厚生労働省は平成 24 年度及び 26 年度の診療報酬改定において、3 剤以上 投与時の診療報酬の減算等を導入し、睡眠薬や抗不安薬の処方の適正化を 図っているほか、向精神薬には診療報酬上の投薬期間の上限が定められて いるが、それらに加え、平成 28 年 9 月にはエチゾラム及びゾピクロンを向 精神薬(第三種向精神薬)に指定するとともに、投薬期間の上限を 30 日としています。

国の方針として、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬は、薬物依存の問題、事件や事故などのトラブルの原因となったり、多数の医療機関で処方してもらい転売したりする問題が起きていることなどを受けてと思われますが、長期に使用するものではなく、短期で減量、中止していくべきものであり、新しいメラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などの鎮静作用によらない睡眠薬を使用することが勧められることになると思われます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬としては、ハルシオン(トリアゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、エバミール/ロラメット(ロルメタゼパム)、リスミー(リルマザホン)、デパス(エチゾラム)、サイレース/ロヒプノール(フルニトラゼパム)、ユーロジン(エスタゾラム)、ベンザリン/ネルボン(ニトラゼパム)、ドラール(クアゼパム)、グランダキシン(トフィソパム)、リーゼ(クロチアゼパム)、デパス(エチゾラム)、ソラナックス/コンスタン(アルプラゾラム)、レキソタン(ブロマゼパム)、セルシン/ホリゾン(ジアゼパム)、リボトリール/ランドセン(クロナゼパム)、セパゾン(クロキサゾラム)、メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)、レスタス(フルトプラゼパム)、ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)などが挙げられます。このうち、マイスリーとアモバンは非ベゾジアゼピン系ではありますが、ベンゾジアゼピン受容体を介して作用するためにベンゾジアゼピン系に含まれます。

日本睡眠学会から睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインが作成されています。

常用量の睡眠薬を服用しても効果が 十分にない場合に、睡眠薬の多剤併 がより有効であるというエビデンスは無く、副作用リスクを低減するためにも、多剤併用はできるだけ避けるべきである。 特に、三種類以上のベンゾジアゼピン系ないし 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の併用は避けなくては いけない。

睡眠 薬を徐々に減量することで不快な症状を避けることが可能です。1 種類の睡眠薬を 4 分の 1 錠ずつ減らし、1 〜2 週間経過をみて問題がなければさらに 4 分の 1 錠減 するなど時間をかけて減量します。特に、2 錠以上服用している、2 種類以上服用している、 長期間服用している方は、 緩やかな減量が必要です。減量する睡眠薬の順番も決まっています。不眠症が治っていれば睡眠薬は減量、中止できます。睡眠薬を減量した直後は睡眠の質が悪く感 じることもありますが、多くは数日で回復します。

上記のベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬を長期間(12ヶ月以上)継続処方されている患者さんについてはメラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などの鎮静作用によらない睡眠薬を積極的に使用し、徐々に減量中止していくことが求められますのでよろしくお願いいたします。

 

神戸・免疫膠原病懇話会に参加して

平成30年1月27日神戸で開催されました神戸・免疫膠原病懇話会に参加しました。

特別講演『キャッスルマン病に埋もれていた新規疾患単位〜IgG4関連疾患とTAFRO症候群〜』

キャッスルマン病は病型により形質細胞型、硝子血管型に分けられ、それぞれに単中心性、多中心性があり4つの病型に分けられる。このうち形質細胞型、多中心性の中にIgG4関連疾患が含まれていた。IgG4関連疾患は、涙腺、唾液腺、甲状腺、膵臓、胆管、後腹膜など全身至る所にIgG4産生形質細胞が浸潤する疾患である。IgG4には補体活性化能はなく、IgEのantagonistであり、IgEが増加する喘息でも上昇する。IgG4の上昇、組織への浸潤はIgG4関連疾患に特異的なものではない。唾液腺のIgG4関連疾患とシェーグレン症候群との違いは、IgG4関連疾患では上皮内への浸潤はなく、導管の閉塞をきたすことは診られないため、それぞれの組織の機能が破壊されない。血清IgG4高値と組織のIgG4免疫染色だけで診断はできない。多の疾患でもIgG4関連疾患の診断基準を満たすものが多数あり、キャッスルマン病、関節リウマチ、SLE、喘息、血管炎などがあり鑑別診断が必要である。CRP上昇、IgA高値、IgM高値、血小板増加、IL-6高値、以上のどれか一つでも満たせばIgG4関連疾患の可能性は低い。病理像のみでは診断することが難しく,臨床像をあわせて診断することが大切である。形質細胞型のキャッスルマン病では、成熟した形質細胞、ヘモジデリンの沈着が見られ、IgG4関連疾患では未熟な形質細胞が増生している。IL-6の免疫染色することで鑑別が可能である。IgG4関連疾患がまだ確立していない時代では、IgG4関連疾患がキャッスルマン病と分類され、IgG4関連疾患が確立し注目されるようになるとキャッスルマン病がIgG4関連疾患と間違って診断されていることある。5つの臨床増の中では、CRP、IgAの2項目が鑑別に重要である。好中球浸潤がIgG4関連疾患で見られることはない。

硝子血管型多中心性の中にTAFRO症候群が分類されていた。TAFRO症候群は、2010 年高井らにより Thrombocytopenia(血小板減少症), Anasarca(全身浮腫、胸腹水), Fever(発熱、全身炎症), Reticulin fibrosis(骨髄の細網線維化、骨髄巨核球増多), Organomegaly(臓器腫大; 肝脾腫、リンパ節腫大)をきたし、リンパ節生検ではキャッスルマン病様の像を呈する疾患である。濾胞周囲に血管増生が渦を巻いたようにあり、血管増生をきたす硝子血管型キャッスルマン病ににているが、キャッスルマン病では中央の血管内に硝子化が見られるが、TAFRP症候群では核のある血管が見られる。25例のTAFRO症候群の検討を行うと、骨髄は過形成髄で、巨核球集まり増加しているが重症感染症でも見られる変化であり、TAFRO症候群に特異的ではない。男女比に差はなく、急速進行性で中高年に多く、腹痛が30%にみられ、リンパ節腫大は小さい。血小板減少、胆道系酵素の上昇を伴わないALP上昇、γグロブリン正常である。iMCDではγグロブリンは上昇する。IL-6はTAFRO症候群、iMCDでも上昇するが、TAFRO症候群では病態に関与しているものではなく、反応性の上昇と考えられる。

【診断基準】
・必須項目3項目+小項目2項目以上を満たす場合TAFRO症候群と診断する。
・ただし、悪性リンパ腫などの悪性疾患を除外する必要があり、生検可能なリンパ節がある場合は、生検するべきである。

1.必須項目
①体液貯留(胸・腹水、全身性浮腫)
②血小板減少(10万/μl 未満)…治療開始前の最低値
③原因不明の発熱(37.5℃以上)または 炎症反応陽性(CRP 2 mg/dl 以上)
2.小項目
①リンパ節生検でCastleman病様(Castleman-like)の所見
②骨髄線維化(細網線維化) または 骨髄巨核球増多
③軽度の臓器腫大(肝・脾腫、リンパ節腫大)
④進行性の腎障害

病理組織は必須であり、HHV-8陰性であること。SLEでも診断基準を満たすため、臨床像だけで診断することはできない。HHV-8陰性のキャッスルマン病の中にTAFRO症候群が含まれている。

3.除外すべき疾患
①悪性腫瘍:悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、中皮腫など
②自己免疫性疾患:全身性エリテマトーデス(SLE)、ANCA関連血管炎など
③感染症:抗酸菌感染、リケッチア感染、ライム病、重症熱性血小板減少症
候群(SFTS)など
④POEMS症候群
⑤IgG4関連疾患
⑥肝硬変
⑦血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/溶血性尿毒症症候群(HUS)

病院へのアプローチで血清サイトカイン測定を行うと、IP-10のみがTAFRO症候群で上昇していた。IFN-γにより誘導されるサイトカインであるが、TAFRO症候群ではIFN-γの上昇は見られない。細菌感染ではIFN-γの上昇がなくIP-10の上昇をきたすことから、細菌感染の可能性が考えられた。75%に胆道系酵素上昇なくALP上昇をきたすことから肝臓の病理組織を見るとグリソン鞘に細胞浸潤があり、感染症に類似したパターンを示していた。30%に腹痛を認め、胆嚢炎と診断され胆嚢摘出述を受けた症例のもあることから、胆道感染症を契機に発症している可能性あるのではないかと考え、胆道組織のシークエンスを行うとCampylobacter jejuniが3例全例で確認されたが、組織内には菌体は見られなかった。Campylobacter jejuniは鶏肉にいる菌であるが、健常人の便にもたまに存在することがあり、人の胆汁中にも存在し胆嚢炎の原因菌となることがある。

キャッスルマン病はヘテロな疾患であり、新たな疾患単位IgG4関連疾患、TAFRO症候群が含まれていたが、まだまだ分かっていない疾患群が隠れ射ている可能性がある。

TAISHOTOYAMA Medical symposiumに参加して

平成30年1月6日東京で開かれましたシンポジウムに参加しました。

2017/2018のインフルエンザは、A/H1 pandemic 09、A/H3、Bヴィクトリア系、B山形系すべてが分離されている。昨年夏に、香港、台湾、オーストラリアではインフルエンザが猛威をふるい多数の死者も出ている。A/H3がほとんどで香港では238人、台湾でも135人死亡している。ウイルスのvaliantではなく、通常のH3であった。現在、ワクチンの製造は鶏卵法であるが、今回のワクチンは鶏卵内での増殖が弱く、十分なウイルスが回収できないため下部の変更がなされ、製造が遅くなってしまった。また卵の中で増殖中に抗原性に変化が見られることが指摘されている。特にH3N2型にみられる。鶏卵内で増殖したウイルスを回収して不活化しワクチンとして製造するが、予測と流行が一致していても抗原性に変化が見られるとワクチンの効果は弱まってしまう。季節性とプレパンデミックワクチンは鶏卵法で製造され、パンデミックワクチンは細胞培養法により製造される。インフルエンザおよび抗インフルエンザ薬による異常行動は、4才から19才までの男性に多く、発熱から48時間までに2/3以上が発症している。新しい抗インフルエンザ薬として、現在のウイルスの放出を止める薬剤ではなく、ウイルスの増殖を抑制する薬剤の改発が進んでいる。ファビビラビルは、ウイルスの増殖を抑える校があり、エボラ出血熱やSFTDにも効果が期待されている。催奇形性があるため妊婦には使用できず、新型インフルエンザ、再興型インフルエンザに退しての使用に制限されている。

インフルエンザの重症化の機序がほぼ解明されてきている。インフルエンザーサイトカインートリプシン/MMP-9サイクルが関与している。このサイクルは通常のインフルエンザ感染でも作動するが、重症化するとエネルギー代謝の破綻をきたしている。インフルエンザが感染すると、TNFα、IL-6、IL-1βなどのサイトカインが早期に誘導され、このサイトカインによりトリプシン/MMP-9の産生が誘導される。この中でもIL-1βが最も重要であり、IL-1βの抗体を投与するとトリプシンの産生が抑制され、炎症反応も抑制される。重症化は、サイトカインーメタボリックdisorderであり、ミトコンドリア内のエネルギー代謝に破綻をきたす。サイトカインが誘導されると、PDK4が急速に増加し、PDK4増加によりPDH活性が低下しミトコンドリア内のATP低下をきたす。PDK4阻害薬がインフルエンザの重症化予防薬のターゲットとして注目される。肝臓保護薬であるDADAがPDK4阻害活性を有し、マウスの実験では、致死率40%程度までであればATPレベルを改善し生存率100%にまで回復させている。糖代謝不全が起こると、脂質代謝を活性化してATPcrisisを回避しようとする。脂質代謝に弱点をもつ遺伝的背景のある小児の場合、重症化が急速に進みその典型がインフルエンザ脳症である。脂肪酸が細胞膜を通過するときにCTP2酵素が必要であるが、CTP2には熱不安定性遺伝子多型がみられ、高熱時に誘発される後天性CPT2欠損状態が脳浮腫を誘発するとこが証明された。血管内皮細胞はエネルギー源が100%ブドウ糖である神経組織と異なり70%を死亡に依存している。高熱時に後天性CPT2欠損状態になると血管内皮症をきたし、血管透過性亢進により脳浮腫、脳圧亢進を発症する。BezafibrateがCPT2の転写促進作用があることが見いだされ、CPT2を増やし、熱による失活を避ける解熱による治療法が有望となる。CAMは、多彩な効果を持ち合わせていて、アジュバント作用、抗炎症作用をもっている。アジュバント作用としては、一般に抗原量が減少すると抗体産生は減少するが、CAMを投与すると抗原量が減っても抗体産産生量は減少しない。インフルエンザでタミフルを投与するとIgA抗体の産生が減少し粘膜免疫の誘導が不十分となるが、CAMを予防的もしくは同時投与するとIgA産生量は減少しない。また、タミフルを使用すると免疫メモリーがつかず、翌年のインフルエンザ感染率が9%から34%に上昇するが、CAMを併用すると乾癬リンの上昇は見られない。CAMには抗炎症作用があり、単球の産生するMCP-1産生抑制を介して、MMP-9産生が低下する。血管透過性亢進による浮腫が抑制される。生体内に存在する成分の中で肺サーファクタント由来のSF-10は強いアジュバント作用を有しており、SF-10を用いた経鼻インフルエンザワクチンが開発されている。サーファクテンは新生児呼吸窮迫症候群の治療に用いられる薬剤であり、副作用の心配がなく有効性が高い。HA-SF-10による経口ワクチンも開発されている。

マイコプラズマ肺炎では、最近マクロライド耐性率が減少している。P1遺伝子型により、1型、2型、2c型があるが、1型に耐性菌が多く、最近1型が減少し、耐性菌の割合も2014年の73%をピークに34%まで低下している。マイコプラズマが感染すると気道の繊毛細胞が減少し、マイコプラズマの産生する過酸化水素により繊毛が切断され短くなる。繊毛の短縮、繊毛細胞の減少により易感染性となり肺炎球菌の混合感染を起こしやすくなる。CAMを投与すると繊毛が切断されにくくなり、混合感染の予防につながる。繊毛上皮の切断により表面に咳受容体が露出し、気道平滑筋の収縮が起こり、回復期に気管支壁の肥厚が起こり咳喘息の発症につながる。診断には現在迅速キットが使用しされ、クイックナビマイコプラズマ、リボテストマイコプラズマが多く使用されている。これにより60〜70%が診断可能である。マイコプラズマ感染で肺炎像を呈するのは20%程度であり、80%は気管支壁の肥厚きたしレントゲンでは肺血管陰影がぼやけた状態になる程度である。最近はマクロライド耐性菌が減っているが、PCRによる迅速キットが近々発売され、一般の開業医レベルでも、PCRによりマクロライド耐性があるかどうかを含めた判定ができるようになり、自信を持ってマクロライドをファーストチョイスとして使用できるようになる。マクロライド感染は咳喘息のきっかけとなる。最近咳喘息の診断が曖昧となっているが、咳嗽の発症時刻が重要であり、気管支喘息と咳喘息は早朝3〜4時頃に咳嗽で目が覚めることが多く、就寝時や起床後の咳嗽は副鼻腔由来の可能性が高い。

明けましておめでとうございます

年始は1月4日から診療を開始しています。

インフルエンザが流行しています。今年度は、最初からA型とB型が流行しています。

人混みへの外出はできるだけ控え、風邪症状がみられた場合は咳エチケットを励行してください。

医療機関を受診するときは必ずマスク着用をお願いします。