第1回加古川リウマチカンファレンスに参加して

11月24日第1回加古川リウマチカンファレンスに参加しました

関節リウマチの診断と治療〜抗CCP抗体の意義とMTXの効果を中心に〜

Larsen GradeIII以上の関節破壊が進行した荷重関節では治療が奏功していても関節破壊が進行するため、早期発見早期治療が大切である。

抗CCP抗体は、アルギニンがシトルリンに変換した自己蛋白に対する自己抗体であり健常なほ乳類にはシトルリン化蛋白はほとんど存在せずRAに特異的である。早期RAで出現し発症を予測できる。抗CCP抗体陽性例は関節破壊が進行しやすい。

抗CCP抗体の陽性群を低値と高値に分けて関節破壊の進行度をΔTSSで比較したところ、高値群と低値群で関節破壊の進行に差はなくtiterには相関しない。ACPA、RFの陽性陰性にて骨びらんの進行を比較すると、ACPA陽性ではRFの陽性陰性に関係なくACPA陰性よりも骨びらんが進み、ACPA陰性例では、RF陽性の方が陰性よりも骨びらんが進行した。

献血ドナーでRAを発症した患者の保存血で発症前の抗CCP抗体の有無を調べると、発症5年以上前に25%、1.5年前に52%が陽性であり、抗CCP抗体は発症前から陽性となり、titerも高くなり発症予測ができる。

ACPAをマウスの脛骨に作用させると破骨細胞が誘導され骨吸収が亢進して骨粗鬆症をきたす。ACPA抗体が高値であると、骨密度が低下する。

RAでは抗CCP抗体の他に抗カルバミル化抗体がみられ、RAの45%に陽性である。抗カルバミル化蛋白抗体は発症前から陽性となりRA発症を予測できるが、陽性例では関節破壊が進みにくい傾向がある。

MMP-3は滑膜細胞に豊富に発現し、関節炎での滑膜増殖と破壊された軟骨成分を測定し、関節破壊の予知マーカーとなる。MMP-3を正常化することを目標に治療を強化すると、構造的寛解を達成しやすい。血清MMP-3が103.7以下であると関節破壊が進行しにくい。MTX開始前に、MMP-3が103.7以上の例は、3〜6ヶ月後に前値より低下しなければ、CRRP以上の関節破壊をきたす可能性が高い。

RAの治療はMTXがアンカードラッグであり、第一選択薬として開始し、約40〜50%が構造的寛解を達成する。関節リウマチの患者の腸内細菌をみた報告では、RAにのみPrevotella属の細菌がみられ、健常者では全くみられず、Provotella copriが大半を占めていた。

平成28年度新型インフルエンザの診療と対策に関する研修に参加して

平成28年11月6日東京で開催されました上記研修会に参加しました

  1. 新型インフルエンザワクチンの現状と課題について

2009年パンデミックウイルスは、  1977年からのソ連型のH1N1と共通抗原。日本では、入院率、死亡率ともに世界的に低かった。高齢者65才以上では、患者が少なく残存免疫の可能性が考えられた。 国産ワクチン1回接種と2回接種であまり抗体価の上昇に変化なしパンデミックワクチンは13才以上では1回接種で抗体価上昇あり。過去の季節性A/H1N1ウイルスの感染により免疫記憶あり。

インフルエンザワクチンの効果発現

不活化ワクチンでは粘膜免疫はできない。プライミングされているとワクチンは1回でよい

新型インフルエンザ等対策ガイドライン

パンデミックワクチン備蓄。平成18年度から、鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス株のプレパンデミックワクチンを、毎年約1000万人分製造し、平成24年度から54万人分を備蓄。現在、チンハイ株(約1000万人分)、ベトナム株・インドネシア株(約1000万人分)、アンフィ株(約1000万人分)。 全国民分のワクチン製造に鶏卵培養法では1年半から2年かかるため、細胞培養法により約半年で製造できるように生産体制の整備を実施

  1. 診断と治療:重症(肺炎合併)例を中心とした新型インフルエンザ診療

合併症のハイリスク群

65才以上、慢性呼吸器疾患、心血管疾患、慢性肝・腎・血液・代謝疾患、神経筋疾患、免疫抑制状態、長期療養施設入所者、著しい肥満、アスピリン長期服用、担癌患者、妊婦

タミフルは48時間以内の下気道合併症を44%減少。タミルフルは入院リスクを63%減少

インフルエンザ治療の原則

発症後48時間以内に開始すると治療効果が最大となる。ハイリスク群では可能な限り抗ウイルス治療を開始することが推奨。肺炎を合併した新型インフルエンザには、原発性インフルエンザウイルス肺炎(急速に進行し呼吸不全となることが多い)、ウイルス細菌混合性肺炎( 肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌感染が多い)。 治療は『成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン』に基づいて実施。ノイラミニダーゼ阻害薬の使用アルゴリズムにもとづき薬剤選択

  1. 新型インフルエンザ対策について

鳥インフルエンザ(H5N1)はエジプト、インドネシアで発生が多い、鳥インフルエンザ(H7N9)は持続的にヒト−ヒト感染は認められない。 新型インフルエンザ等対策特別措置法を策定し対策している。対策の基本的な考え方は、水際対策、早期封じ込め、感染拡大の抑制、流行規模の平坦化、ワクチンの早期開発生産、医療への負担を下げる。抗インフルエンザ薬の備蓄は国民の45%相当量を目標としている。備蓄目標:5650万人分  流通備蓄:1000万人分。人口25%が罹患し全員が受診 3200万人分、重篤の場合倍量・倍期間投与 +750万人分、予防投与 300万人分、季節性インフルエンザ同時流行 1270万人分

現在の被害想定

全人口の最大25%が流行期間にピークをつくり順次罹患。医療機関受診者 約1300万〜2500万人。入院患者 約53万人〜200万人。死亡者  約17万人〜64万人。備蓄 タミフル 約3000万人分、リレンザとイナビル 約530万人分、ラピアクタ  95万人分

  1. 抗インフルエンザウイルス薬の薬剤耐性化とその対策について

ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスは増殖スピードが遅くなり、感染伝播効率が悪くなり、ヒト−ヒト感染して流行が拡大する可能性は少ない。2008年ノルウェーからタミフル耐性ウイルスが世界中に流行。 ノイラミニダーゼ遺伝子275番がヒスチジンからチロシンに変異。増殖スピードが遅くなることを代償する遺伝子変異を獲得した。ウイルスの消失には薬剤と同時に体内の免疫応答が重要。免疫不全患者では、5ヶ月間ウイルスを持続排泄した症例あり。8才では治癒にあたる5-7日でも40〜60%がウイルスを排出している。ウイルス排泄が長引くと、体内でのウイルス増殖が持続し変異ウイルスが一定頻度で出現し、薬剤耐性変異を持ったウイルスが増殖しやすくなる。4才の幼児の治療前は、薬剤感受性100%、耐性0%であるが、治療後5日では8%耐性出現し、7日目では75%耐性が出現する。タミフルよりもリレンザの方が耐性ができにくい、局所での薬剤濃度の違いによる 吸入薬の方が局所濃度高い。耐性ウイルスであっても、推定される血中濃度から効果が期待できる。タミフルとラピアクタ、リレンザとイナビルはノイラミニダーゼの結合部位が近いため交差耐性ができやすい

第6回播磨肺高血圧症セミナーに参加して

10月27日に加古川で行われました、播磨肺高血圧症セミナーに参加しました。

肺高血圧症の1/4は膠原病関連の肺高血圧症である。IPAHは100万人に12人と非常にまれであり、すべての方をスクリーニングすることは無理であるが、CTD-PAHは100人に12人と高頻度であり、全例をスクリーニングすることが可能である。膠原病の早期診断が大切であり、全身性硬化症では皮膚硬化が起こってからではなく、手指腫脹の状態で診断がしないといけない。レイノー現象をきたす人がすべて強皮症や混合性結合組織病ではなく、ごく一部の人が膠原病である。レイノー現象があり、抗核抗体陽性もしくは爪郭上皮毛細血管異常があれば強皮症の可能性が非常に高い。強皮症では、1/3の症例で肺、心臓、消化管のどれかに変化があるため,診断されれば全例スクリーニングし、症状が出る前に治療を開始することが大切である。全身性硬化症の診断は、2013年の分類基準にもとづき診断すると早期診断が可能

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全身性硬化症は、線維化、循環障害、免疫異常の3つの項目について評価し診断する。爪郭毛細血管異常があると膠原病である可能性が非常に高く、肺高血圧症と関連がある。セントロメア抗体陽性、U1RNP抗体陽性でじゃ肺高血圧症をきたしやすく、後者では免疫抑制剤が効果があり、前者では発症後10〜20年で肺高血圧症が発症し、免疫抑制剤の効果は期待できない。肺高血圧症の診断は、PA圧25以上となっているが、全く根拠がない。肺動脈圧は25未満の19〜24でも死亡率は圧の上昇とともに上昇しており、19〜24でも正常として放置していいとはいえない。将来は19以上が診断基準となる可能性もある。強皮症患者さんは28°で血管血流が低下する。喘息と同じように血管は通常状態でも血管壁が肥厚して内腔が狭くなっているため、少しの温度変化で大きな影響を受ける。血流低下が起こると繊維化も進行するため予防が大切であり、レイノー減少がみられたら全身を温めることが大切である。禁煙、保温に留意し、レイノーが起きればできるだけ短時間で改善するように対応しないといけない。生活習慣の改善が大切である。肺高血圧症を疑い、右心カテを行うかどうかの判断として、心エコーでは80%ルールがあり、80%の偽陽性、感度80%であり、心エコーで肺動脈圧上昇と判断されても正常のことがあり、心エコーで正常と判断されても肺高血圧症のことがあり、できれば全例右心カテをすることが望ましい。DETECT studyにて各種データを入力すると肺高血圧症があるかないか判断できる。肺高血圧症の治療において、膠原病では間質性肺炎、CTEPH、左心不全が合併してることがあり、しっかりと除外診断をしてから治療開始しないと肺水腫をきたし悪化することがある。治療薬としては、NO系、PGI2系、エンドセリン系の3種があり、内服薬は膠原病の他の症状にどのように効果があるかを考えて選択する必要がある。エンドセリンにより線維化が促進されることから、トラクリアでは線維化が押さえられる。

加古川市でインフルエンザ発生

姫路市でインフルエンザによる学級閉鎖がでているようです。加古川市でもインフルエンザが確認されています。今年は、昨年よりもかなり早い流行になるかもしれません。現在の流行はA型です。沖縄ではAH3型(A香港型)が流行しています。同じであれば、重症化しやすいタイプです。重症化予防のためにできるだけ早くインフルエンザワクチンを接種しましょう。

今冬のインフル流行、立ち上がりが早い?

沖縄県のインフルエンザ流行が、例年にない早い立ち上がりを見せている。全県では7週連続で増加し、第40週(~10月9日)には定点当たり6.22人と高水準に達し、地域別には、那覇市で定点当たり11.17人と注意報レベルである10人を超えた。これは、新型インフルエンザが流行した2009/10年に次ぐ早い立ち上がりである。沖縄県の9月以降に検出されている株は7件で、その全てがAH3型(A香港型)。昨シーズンも、流行当初に検出されたタイプはAH3型が主流であり、AH3型は他のタイプに比べて重症化しやすいと言われている。このときは、12月〜1月にピークを迎えていることから、早めのワクチン接種勧められる。

第5回RAとIL-6研究会に参加して

10月17日東京で行われました第5会RAとIL-6研究会に参加しました。

最近では関節リウマチの約半分が寛解に導入できる様になってきた。寛解の後はどうするかが今後の課題である。寛解維持ができなくなるのは、DAS28、寛解維持中のMTXの減量が因子としてあげられる。バイオ使用中で、ステロイド中止、MTX中止でも寛解維持には影響がない。むしろ、ステロイド中止群やMTX中止群の方がバイオの継続率が高い。世界的に見ると、約30%はバイオをモノテラピーで使用している。バイオフリーについては、約半数は1年間中止継続できているが、その後については十分な情報がない。投与間隔の延長も選択肢として考えられる。RAの骨折数は減っていない。椎体骨折は、高齢、JHAQ高値、ステロイド服用、大腿骨近位部骨折は、年齢、JHAQ高値、TKAの有無が要因としてあげられる。入院加療となる理由としては、呼吸器感染症、骨折などがあげられる。

アクテムラ皮下注使用成績については、点滴製剤と大きな差はなく、消化管穿孔や心不全については、1年目にやや多く見られたが、増加することはなかった。

csDMARDの使用法として、マイコバクテリウムアブセスの時でも、免疫抑制のないイグラチモドは使用可能であり、透析患者でも使用可能である。MTX使用できない症例でのcsDMARDとしてはイグラチモドがよいのではないか?バイオ効果不十分例にイグラチモドを追加併用することにより寛解導入が可能となることがある。バイオレスキューにはタクロリムスが有効である。トラフ値が高いとDAS寛解率が高い。バイオフリーとバイオレスキューにはタクロリムスが有効である。バイオフリーを導入するにあたっては、csDMARDを3剤併用することにより達成しやすい。ENTからTCZへのスイッチの時に、TCZの効果発揮までのタイムラグがあり、そのときにPSLを短期追加すると有効である。

2016 EULRA recommendationにおいて、MTX-IRでは予後不良因子があれば、bDMARDもしくはJAK阻害薬が推奨されている。ADACT studyでは、MTX-intolerance においてTCZがADAよりも有効性が高いことが示された。日本のSURPRISE studyでは、MTX-IRに対して、TCZをadd-on群とTCZへのswitch群で比較すると、6ヶ月後の寛解はadd-onで70%、awitchで55%。1年ではこの差がなくなりキャッチアップされる。mTSSで見ると、構造的寛解は66%と64%、悪化したCRRPは7%と15%であり、add-onの方が構造的かんかんを達成しやすい。しかし、副作用はadd-on群の方がawitch群よりも多く、MTXを中止する方が安全性は高い。以上から、MTX-IRでは、6ヶ月間はTCZ+MTXで治療し、寛解が導入されればMTXを中止するのがよいと思われる。csDMARDが併用できない患者でのバイオは、IL-6阻害薬とJAC阻害薬がアドバンテージがある。TNF-failureに対する次のバイオは?2ndバイオは、TNF製剤よりも、non-TNF製剤の方が有効性が高い。現時点での第一DMARDは?U-Act-Eary studyでは、80-90%が感慨に導入され、TCZ+MTX、TCZ単独は、MTX単独よりも有効性が高い。TCZ単独は、TCZ+MTXとほぼ同等である。医療経済を考えなければ、全例バイオでスタートするのがベスト。

Next Symposium 2016 in Kobeに参加して

10月6日神戸で開催されました上記講演会に参加しました

高齢化社会とPPI 適切な軟分泌のコントロールを求めて

GERDは年齢とともに増加しており、ピロリ菌感染の減少に伴い、潰瘍が減少しGERDが増加している。GERD治療の目的は、症状のコントロールとQOLの改善である。GERD治療のフローチャートでは治療はPPIが中心であるが、H2RAでは50%しか改善しないのに対してPPIでは90%改善する報告があるためである。GERDはPPIを中止すると6ヶ月で約90%が再発する。なぜ再発するのか?胃酸分泌亢進、下部食道括約筋機能低下、食道クリアランスなどの因子は個人によって特有のものであり、簡単には変わらないため再発する。そのため、生活習慣の改善をすることによって改善が期待できる。GERDのgradeは約70%は変化しない。PPIを服用すると約80%は再発を予防できる。間欠療法では、50%程しかコントロールできない。日本人は軽症GERDが約90%であり、GERDの重症度と症状はあまり相関しない。GERDよりNERDの方が多く、内視鏡所見よりも症状のコントロールが重要である。再発しやすいGERDは、HP陰性、若年者、肥満、腹痛の存在、5年以上持続しているがあり、項目が多いほど再発しやすい。長期の酸分泌抑制が必要となる病態は、GERDと低容量アスピリンもしくはNDAID服用である。NSAIDは、PGE2を阻害することにより、粘膜障害をきたし胃酸分泌亢進をきたすため、HP陽性でNSAID服用すると、HP陰性の健常人より約60倍胃潰瘍になりやすい。ACS治療において、消化管出血をきたすと生命予後が悪くなる。消化性潰瘍による死亡は年々減少しているが、1990年以降は横ばいであり、高齢化によりアスピリン低容量やNSAID服用者が増加していることによる。NSAI服用すると1年間で30%に胃潰瘍が出現し、PPIを服用すると発生が4%に減らせる。低容量アスピリンでは、1年間に20%に胃潰瘍が出現し、PPIにて発生は0%に減らせる。1970年と1990年を比較すると酸分泌能は上昇しているが、その後は横ばいである。GERDは生命を脅かす疾患ではなく、安全性が最も重要である。PPIを長期間服用することによる副作用としては、胃酸を抑制することによる副作用があり注意が必要。

10月1日からインフルエンザワクチン接種開始

予定通り10月1日から一般の方のインフルエンザワクチンの接種を開始します。

料金は、3241円(消費税込 3500円)昨年よりも少し安く設定しています。

ワクチンは一度開封すると24時間以内に使用しないといけません。ただ、今年度は2人用のワクチンしか製造されないため、その日に一人しか接種する方がおられないと一人分は破棄することになりロスが出ます。昨年度は12月になると接種する方が減りロスがありました。そこで、10月11月は昨年よりも安く設定しいますが、ロスの出やすい12月は、3889円(消費税込 4200円)と高く設定しております。できるだけ11月末までに接種するようにお願いいたします。

第13回兵庫県感染症セミナーに参加して

9月15日に神戸で開かれました『兵庫県感染症セミナー』に参加しました。

今回のテーマは、尿路・性感染症でした。

教育講演では、尿路・性感染症における抗菌薬の使い方についての講演でした。投与経路としては、経口と注射であり、軽症では外来での経口薬による治療。尿路感染症の治療を行う場合には、血中濃度、組織移行性、尿路から膀胱組織への移行性を考慮して使用する必要がある。経口薬の場合は、吸収に食事の影響が出るため、それぞれの薬剤が空腹時、食前、食後のどの時に最も血中濃度が上がりやすいかに注意が必要。単純性と基礎疾患のある複雑性、重症度により分類し抗菌薬選択をする。単純性はほとんどが大腸菌であるが、最近はESBLも含まれており注意が必要。複雑性になると、緑膿菌や腸球菌等いろいろな菌が増えてくるため、グラム染色、培養を実施し、エンピリック治療を開始し、培養結果と感受性結果を見てデエスカレーションを実施する。

特別講演は、アトラスで見るこれが性感染症だと題名通り、さまざまな実例のアトラスを提示しわかりやすく説明していただきました。

梅毒は、2011年以降増加しており、現在はアウトブレイク状態。2015年は2000人台であったが、2016年は8月ですでに昨年を上回っており3000人を超える勢いである。東京が全体の40%を占めており、次いで大阪、神奈川続いている。兵庫県は7位。男性は、20〜40才代、女性は20〜24才が多い。2011年までは、同性間接触による感染が多かったが、最近は異性間接触による感染が多くなり、同性間接触よりも多くなっている。20〜24才の女性が多いことから、先天梅毒の報告も多くなっている。最近梅毒が増えている原因は明確には分からないが、訪日する中国人の増加が一因となっている可能性もある。中国での梅毒患者は、43万人、死亡58人。中国は日本の人口の10倍であるが、梅毒患者は300倍である。初期症状としては、初期硬結、硬性下疳、無痛性横痃がある。硬性下疳は、周囲が軟骨のように硬いびらんおよび潰瘍が見られるが、疼痛は伴わないのが特徴、2〜3週で自然消失する。これらはトレポネーマの進入部位にみられ、性器外にも2〜3%にみられ口唇に見られることもある。第2期はバラ疹がみられ、鱗屑を伴わない紅斑であり、手のひらと足の裏に両方見られれば梅毒と診断できる。肛門に扁平コンジローマがみられ、これらにはトレポネーマが非常に多く感染源として注意が必要。こく腔粘膜にバタフライアピアランスとよばれる白斑が見られることがある。第3期には、結節性梅毒疹、ゴム種がみられる。HIVが基礎にあると悪性梅毒となり重篤になる。HIV感染が増加しているため神経梅毒も多くなっている。

クラミジア感染症は10〜20才、女性が男性の2倍。感染ご1〜3週後に、尿道より漿液性の浸出液がみられるが、約半分は無症状で、女性の場合は70〜80%は無症状。

淋菌感染症は、男性の方が多く、症状もきつい。20才代の多く排尿初期に痛みがあるのが特徴である。尿道より排膿がみられる。

これらはともに、女性では不妊、子宮外妊娠等の原因になる。

淋菌、クラミジアによる咽頭感染では、90%が症状が見られない。淋菌は咽頭感染が多く、クラミジアは咽頭は少なく性器感染が多い。

性器ヘルペスは、小傷より進入し神経に感染し再活性化時にパートナーに感染させることになる。初感染は左右対称性のびらんがあり、帯状疱疹との鑑別が問題となる。性器ヘルペスは症状が激しく、I型ヘルペスウイルスによるものが多い。

東播磨 高齢者の肺炎予防勉強会に参加して

9月13日加古川で行われました『東播磨 高齢者の肺炎予防勉強会』に参加しました。

現在日本人の死因の第3位が肺炎である。ほとんどが65才以上の高齢者であり、高齢者が肺炎を起こすとADLが低下し、廃用症候群となる。肺炎は1週間で治癒するがADLの低下は改善せず、寝たきりとなり嚥下機能の低下につながり誤嚥性肺炎を繰り返す負のスパイラルに入る。一時は胃瘻などの経管栄養を積極的に行っていたが、経管栄養では誤嚥性肺炎は防げない。繰り返す肺炎を起こす状態はすなわち老衰であり、肺炎を治療しても肺炎を起こしやすい老衰状態を直すことはできない。ターミナルケア肺炎とよばれ予防する手立てがない状態である。ターミナルケア肺炎では、何をしても助けることはできないため、抗菌薬を繰り返し使用することによる耐性菌の出現も問題となっており、抗菌薬を使用しないという選択肢も考慮すべきである。高齢者が一旦肺炎を起こすと、負のスパイラルに入ってしまうため、肺炎を予防することが大切である。健康寿命を伸ばすためには、健康寿命を縮める病気を予防すること大切である。高齢者の肺炎の起因菌の第一は肺炎球菌であり、64歳未満と65歳以上ではその罹患率は5倍以上、75才以上では10倍以上に増加する。肺炎予防のため65才以上の方に肺炎球菌ワクチンを接種が定期接種として開始されている。日本で使用可能な肺炎球菌ワクチンは2種類あり、現在公費負担の対象となっているニューモバックスと対象となっていないプレベナーがある。ニューモバックスは多糖体ワクチンであり、免疫原性が低くB細胞を直接活性化して抗体産生を誘導するが、免疫記憶ができないため5年ごとの接種が必要である。ただ、血清型は23価あり、多くの血清型に効果が期待できる。プレベナーはキャリア蛋白をつけた結合型ワクチンであり、樹状細胞を活性化し、T細胞活性化を介してB細胞の活性化を誘導し、抗体産生を誘導さらにメモリーB細胞を誘導し免疫記憶が確立されるため、1回の接種で効果が持続する。プレベナーは小児の定期接種となり、その後肺炎球菌による髄膜炎が劇的に減少した。また、子供は保育園などの集団生活を始めると肺炎球菌、インフルエンザ菌の保菌が見られるようになるが、子供の肺炎球菌の保菌を減らす効果もある。高齢者の肺炎の起因菌の第一は肺炎球菌であり、64歳未満と65歳以上ではその罹患率は5倍以上、75才以上では10倍以上に増加する。なぜ高齢者で肺炎球菌肺炎が多くなるのか?原因菌の肺炎球菌はどこから運ばれてくるのか?菌を保菌している孫と接触することにより、孫の保菌している肺炎球菌が感染して肺炎をきたしている。子供の肺炎球菌ワクチンが定期接種となり、肺炎球菌による髄膜炎が減ったが、それに伴い高齢者の侵襲性肺炎球菌肺炎も間接的に減っている。これは、プレベナーにより、子供の肺炎球菌の保菌数が減ることにより、高齢者への感染を減らした間接効果である。

ニューモバックスとプレベナーはどのように使用すればいいか?どちらが効果がいいか?日本において、65才以上の健康な方にニューモバックスを接種して肺炎球菌肺炎が予防できるかを調査すると、効果がある人もいるが効果がない人の方が多いため全体としてみると効果がない。海外の研究ではあるが、プレベナーを65才以上の方に接種すると、市中肺炎が46%減少し、侵襲性肺炎球菌肺炎は75%減少した。アメリカでは、それまでニューモバックスが定期接種のワクチンとして推奨されていたが、このデータをもとに65才以上の方でワクチン接種歴のない方はプレベナーを接種し、1年以上あけてからニューモバックスを接種、ニューモバックスを接種したことがある方は、1年以上開けてからプレベナーを接種することを勧めている。どちらを先にうつ方が効果があるかを見ると、プレベナーを先に接種し、あとでニューモバックスを接種した方が、反対の順番で接種するよりも予防効果が高まる。プレベナーを接種して、強い抗体産生を誘導して、その後23価のニューモバックスを接種して多くの血清型に反応するようにすることが高い効果が期待できると考えられる。肺炎の入院費は約70万円かかる、医療経済的にもワクチン接種にて肺炎を予防することが大切であり、特にリスクの高い気管支喘息、糖尿病、慢性腎不全、COPD、心不全などの方は積極的に肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種することが必要である。患者さんが肺炎球菌ワクチンを摂取したきっかけは、医師の勧めが第一の理由であるため、我々臨床医が患者さんに積極的に肺炎予防のため、健康寿命を延ばすために肺炎球菌ワクチンをストップ肺炎をめざして勧めるようにすべきである。

麻疹予防への注意喚起

麻疹(はしか)の患者さんが相次いで発生しているため、日本産婦人科学会は妊婦やその家族に対しての注意事項をホームページに掲載しています。妊娠中に罹患すると流産・死産がの発生があることや、発育障害があるため、罹患しないように発生地域への外出を控えるように注意喚起しています。

麻疹(はしか)が疑われる方は、直接医療機関を受診せず、まえもって連絡をした上でその後の対応を相談してください。待合室などの同じ空間にいた人に感染を広めてしまいます。入り口や待合を感染に分離して、空調管理の整った隔離室での対応が必要となります。兵庫県内では尼崎で麻疹の報告があります。麻疹の報告があった地域への外出があり、カタル症状、高熱、発疹などがあれば可能性は非常に高いです。

マスクをしているだけでは感染予防はできません。ワクチン接種しか予防効果を発揮しません。

妊娠を予定している方やその家族の方は積極的にワクチン接種を勧めています。

10月1日よりインフルエンザワクチン接種開始します

そろそろインフルエンザワクチン接種の時期になってきました。昨年度は、インフルエンザ脳症にてなくなられた方がかなりおられました。昨年度は10月15日からワクチンの接種を開始していましたが、そのときにすでにインフルエンザがぽつぽつと報告されていましたので、本年度は少し早めて10月1日から接種を開始します。インフルエンザの発症を予防することはできませんが、重症化、特に脳症などを予防してくれるのはワクチンだけです。受験生の方、妊娠をされている方、糖尿病や関節リウマチなどで抵抗力の低下しておられる方は積極的に接種されることをお勧めします。

予約制ではなく、当日受付にてワクチン接種希望を申し出ていただければ結構です。

ただし、高齢者の方で公費負担のある方は10月15日からしか接種できませんのでご注意ください。

神戸西・明石エリア関節リウマチセミナーに参加して

7月21日に開催されました上記セミナーに参加しました

生物学的製剤にて寛解に至った症例をアバタセプトに切り替えた場合の有用性を検討。

関節リウマチ患者さんの高齢化、高齢発症の関節リウマチが増加していることから、全体的な副作用の少ないアバタセプトに切り替えて継続することが有用ではないかと考えて検討されている。アバタセプト以外の生物学的製剤にてDAS28CRPで3ヶ月以上寛解を維持している症例を本人の希望を聞いてアバタセプトに切り替える群と継続する群とに分けてその後の経過を検討され、アバタセプトに切り替えた群の方が寛解維持率が高く、感染症の発症も増加せず有効である可能性があるとの発表であったが。アバタセプトがT細胞活性化の防止効果であること、関節リウマチと分類できない関節炎の状態の患者にアバタセプトを6ヶ月使用するとその後の関節リウマチへの進展が防止できるとの文献から、発症初期と寛解導入された状態に有効ではないかと推察されている。ただ今回の検討では、継続群においてMTX減量、PSL減量、バイオの減量などを行っておられ観察開始2ヶ月目で中疾患活動性になっている症例もありかなりのファクターが入り組んでいるため両群を比較することは無理があると思われる。

特別講演では、テーラーメイド治療の可能性について、propensity score matchingを用いた新たな視点からの講演。現在関節リウマチに対して有効なバイオが多数がある、TNF、IL-6、T細胞活性化に関わるものしかない状態であるため、この3つ因子がRAに重要であるが、そのうちどれが最も重要であるか?直接比較をしてどれが最も臨床的に有用であるかを見ることにより判断できるが、head to headのRCTは3つしかない。この3つの試験では、トシリズマブvsアダリムマブ、アバタセプトvsアダリムマブにおいて効果に差はなかった。だだRCTは実臨床の患者間には差があるため、RCTのデーターをそのまま実臨床に持ち込むことはできない。産業医大の実際のバイオの効果も同じ結果であるかどうかを年齢、MTXの併用率、ベースの感染症リスクなどいろいろな差をなくすための手段として score matchingを用いて検討された。それによれば、アダリムマブ、トシリズマブ、アバタセプトの有効性にはどれも差がなかく、RCTと同じ結果であった。テーラーメイド治療をめざすため、それぞれの製剤における予後予測因子があるかどうかを検討。TNF、IL-6、T細胞活性化のどれかにしか効かない症例を見つけ出し検討している。マーケッティングで用いるdecision tree analysis(決定木分析)を用いて何でも効く症例を除外しバイオナイーブ症例で予後予測因子を検討。半分はどのバイオでも効果があり、RFとSDAIが予後予測因子として抽出された。アバタセプトは、RFが高いほど、SDAIが低いほど寛解率が高い、トシリズマブはRFが低いほど、SDAIが高いほど寛解率が高い。アダリムマブでは、RF、SDAIとも関係なし。RFでテーラーメイド治療が可能か?アバタセプトでは、RF50をカットオフとして、50以上ではSDAIが改善しやすい。

兵庫県整形外科医会リウマチフォーラムに参加して

平成28年7月9日、兵庫県整形外科医会リウマチフォーラムに参加しました。

予定より40分ほど開始が遅くなり、特別講演I終了後に予定になかった15分の休憩が組み込まれたため、特別講演IIは聴講することができませんでした。

関節エコー技術習得のため留学された、三崎先生より講演

関節エコーは、安価で、可動性があり、放射線被曝もない非常に便利な検査機器である。関節エコーで、グレースケールにより関節液貯留、骨不整、滑膜増殖を、パルスドプラにて活動性滑膜炎の検出ができる。また、関節リウマチの早期診断に役立つ腱鞘滑膜炎の診断も可能。

骨びらんと骨棘の違い、びらんは平面に穴、骨棘はとげ、上に凸不連続な像として描出。エコーを使うと関節リウマチの診断感度は診察のみよりもあがる。診察所見だけであれば、感度58.5%、エコーGS≧Gr1を基準とすると感度78%、GS≧Grade2かつPD≧Grade1とすると特異度93.7%になる。触診にて関節腫脹、圧痛なしと判断した関節にエコーを実施すると、25.6%で滑膜増殖像があり、13.7%で活動性滑膜炎の所見が見られた。臨床的寛解では真の寛解とはいえず、厳しいBoolean基準で寛解と診断されたうち20%で関節破壊が進行する。関節エコーによる画像的寛解を目標とすべきである。骨に近い血流像が関節破壊の原因であり、エコーでの画像的寛解のチェックし、画像滴寛解が得られるまで治療を強化することが必要である。

このあと症例呈示

① 痛風関節炎:軟骨の表面が尿酸ナトリウムにより白くなり、ダブルコンツールサインが見られる。

② 強直性脊椎炎:アキレス腱の付着部炎、MRIにて頸椎の四隅が白くなる

③ 巨細胞腫