HUMIRA RA Forumに参加して

7月2日行われましたHUMIRA RA Forumに参加しました

HOPEFUL試験において、MTX単独、MTX+ADAにて治療開始し、6ヶ月後に両群ともMTX+ADAにて治療を実施し、12ヶ月後の評価。6ヶ月ではMTX+ADA群の方が治療成績がよいが、12ヶ月後には、両群ともDAS28の寛解率は同じになり、MTX単独群でもADAを追加併用することにより、寛解率はキャッチアップできる。しかし、関節破壊においてはMTX単独群では、関節破壊が進行した症例が多く、関節破壊は6ヶ月間のバイオの遅れにより進行してしまう。HOUPEFUL−2試験にて、MTX+ADA治療1年後に、ADAを継続した群と、ADAを中止した群を比較すると、関節破壊には差はなかった。関節破壊が進行する症例では、早期にバイオを開始する必要があり、治療開始が遅れると関節破壊が進行し、バイオを追加しても関節破壊をしっかりと防止することはできない。

ADAの休薬はDAS28-CRP<2.6と寛解に入っていれば、86%が寛解維持できる。発症早期であれば1/3は休薬可能である。一般的に、発症2年以内であれば半数は休薬できる。2年以上経過すると、ステロイドが中止できないと休薬はできない。休薬できるのは、csDMARDを併用していることが必要。

以上より、発症半年は強力に治療して寛解導入し、以後は安全に寛解維持を図ること大切である。MTX単独でも6割の患者さんは、寛解導入でき関節破壊の進行もない、2割の患者さんでは、MTXだけでは寛解に導入できず、関節破壊の進行を防止できないため早期にバイオを開始する必要があるが、治療前にバイオが必要である患者さんを見極める手段がまだないのが現状である。

EULRAにおいて、JAK阻害薬がMTX効果不十分例においてbDMARDと同等に扱われる勧告がプレリミナリーではあるが発表された。JAKは30を超える免疫に関わるサイトカインやケモカインの発現制御に関わっており、非常に有効性が高い可能性がある。RAの滑膜では、JAK3の発現が亢進しており、トファチニブの投与によりIL-17、MMP-3の発現が減少、トファチニブの作用は、Th1、Th17、樹状細胞、B細胞もターゲットとなっている。現在、いくつかのJAK阻害薬が臨床治験に入っている。

アクテムラ学術講演会に参加して

6月25日に品川で行われましたアクテムラ学術講演会に参加しました。

妊娠とアクテムラ

妊娠中に関節リウマチの活動性が低下し改善すると言われているが、DAS寛解に入るのせいぜい25%程度である。妊娠中、授乳中は積極的に薬物療法を行い活動性をコントロールする必要がある。薬剤により胎盤通過性に違いがある。sDMARDは分子量が小さく濃度勾配的に胎盤を通過するため一定量は胎児移行する。bDMARDは分子量大きく妊娠中期から胎盤移行性が出てくる。MTXは催奇形性があるため妊娠前に中止すべき。アザルフィジン、プログラフは継続可能。TNF阻害薬は妊娠前期はOKである。エンブレル、シムジアは全期間通して使用可能、授乳中は使用可能。アクテムラの妊娠に関するデータは乏しいが、明らかな催奇形性や流産などを増加させるデータはない。アクテムラを使用しないとコントロールできない患者さんが挙児希望、妊娠した場合には、妊娠判明後中止し、PSLの内服、妊娠11週以降ではエンブレルやシムジアを使用。TNF阻害薬にてコントロール不良患者さんにアクテムラを使用して活動性を押さえ込み、妊娠にいたって症例で妊娠中にアクテムラを中止しても活動性が低下したままであった症例がある。

アクテムラ市販後調査

感染症は10%、重篤感染症は3.6%、消化管穿孔は0.1%。重症感染症は他の生物学的製剤とほぼ同等であり、危険因子としては、65歳以上、罹病期間が10年以上、呼吸器疾患の合併、PDL5mg以上使用。

SURPRISE STUDYから見たアクテムラ使用の最適化

エンブレルでは、単独使用では有効性はMTXとほぼ同等であるが、ASTORI STUDYでは、アクテムラはMTX単独よりも有効性が高い。SURPRISE STUDYでは、MTX併用がアクテムラ単独よりもDAS28-ESRでの有効性は高い。Switch群とAdd-on群では、Add-on群の方が有効性が4週目から高くなっている。しかし、52週になるとその差はなくなってくる。52週で差がなくなるのであれば、52週以降はMTXは不要であるか?関節破壊は、CRRPがSwitch群で高い。24週でDAS28で寛解になっていない症例ではCRRPが高い。早期に炎症が抑制できると関節破壊を抑制できる。

DREAM STUDYではIL-6低下、MMP-3低下していると中止可能である。ACT-RAY STUDYでは、DMARD併用していてもアクテムラの中止は難しい。中止した症例で、1年後中止できているのは10〜40%程度。KEIO-TCZ STUDYでは、有害事象はMTX併用群で多いため、1年経過して寛解状態であれば、MTXは中止した方がよい。

第16回日本実地医家消化器内視鏡研究会に参加して

6月19日京都で行われました日本実地医家消化器内視鏡研究会に参加しました。

胃癌ABC検診が全国的に行われているが、ピロリ菌陽性判定の血清ピロリ抗体キットがEプレートからラテックス法に変更となり、陰性高値の設定がなく不一致がみられる。本年3月に和光からラッテクス法による新しいキットが発売となり、陰性高値の設定は不要であり従来よりも短時間での測定が可能となり、感度特異度も極めて高いため今後のABC検診に有効となる可能性あり。

胃癌リスクを評価するための分類とスコア化および内視鏡的胃炎の記載方法について胃炎の京都分類が策定された。RAC、胃底腺ポリープ、稜線上発赤、ヘマチン付着、びまん性発赤、鳥肌、襞腫大、地図状発赤などの所見により、現感染(慢性活動性胃炎)、既感染(慢性非活動性胃炎)、未感染(正常胃)に分類記載する。

ピロリ菌が胃癌のリスクであり、除菌により胃癌が1/3に予防できる。最近のメタアナリシスではNNTは124であり、1人の胃癌を予防するためには124人の除菌が必要である。除菌だけでは完全に予防できず、定期的な胃内視鏡検査による胃癌検診が必要である。胃X線でも慢性胃炎の評価を行い、胃癌疑いのチェックだけでなく、胃癌のリスクとしての慢性胃炎を拾い上げることが必要である。

京都府では、胃癌撲滅のため高校1年生全例にピロリ菌除菌を無料で行うことに取り組んでいる。尿中抗体、便中抗原にて確認すると、約4〜6%でピロリ菌陽性。除菌は除菌率の高い二次除菌製剤にて実施している。

2015年胃がん検診ガイドラインが改定となり、対象年齢が40歳から50歳に引き上げられ、検診間隔は2年間が基本、X線検査に加えて胃内視鏡検査での検診も可能となった。2年に1回でも胃がんによる死亡率の上昇がないことから2年間隔となっている。検診マニュアルでは、胃内視鏡検査は日本内視鏡学会専門医の資格を持った医師が実施、鎮静剤の使用は不可、ダブルチェックが必要等の規定あり

Biologics User’s Forumに参加して

6月18日東京で行われたBiologics User’s Forumに参加しました。

シンポニー(ゴリムマブ)のメーカー主催の講演です。

3名の先生の講演がありましたが、全体的な内容としてはまとめると、

シンポニーは5年間の長期間有効性が低下せず、継続率が高いことが示された。トランスジェニックテクノロジーによる完全ヒト型抗体であるため、免疫原性が低くMTX非併用下でも抗製剤抗体がほとんどできないためと考えられる。4週間に1回の皮下注製剤で自己注射はできないため医療機関での確実な実施ができアドヒアランスが高い。50mg、100mgの2剤形があり用量選択が可能である。シンポニーの有効血中濃度はトラフで0.6μであるが、50mgでは一部の症例で有効血中濃度を下回るが、100mgではほとんどの症例が有効血中濃度を上回る。高疾患活動性であれば最初から100mgを選択することにより、効果不十分となる可能性が低くなる。50mgでスタートしてある程度の効果があるが不十分なパーシャルレスポンダーであれば、100mgに増量することにより深い寛解が得られるようになる。

GO-AFTER試験においてTNF製剤抵抗症例でシンポニーに変更し、効果不十分であれば100mgに増量すると寛解率が高く、他のTNF無効例にも有効である。

シンポニーはMTX非併用での使用が可能であり、寛解を得られた場合に、シンポニーの減量中止、MTXの減量中止の選択が可能である。

 

2016世界禁煙ウィーク兵庫県民フォーラムに参加して

6月4日

シンポジウム 県受動喫煙防止条例施行後3年を経過して

平成25年4月から全国都道府県では2番目に受動喫煙防止条例が施行された。

不特定又は多数のものが利用又は出入りする施設の、全面的な禁煙(第9条別表第1)

幼稚園、小・中・高校、保育園:敷地内・建物内全てを禁煙

病院・診療所、官公庁の庁舎、児童福祉施設など:建物内を全て禁煙

大学、専修学校、薬局:建物内の公共的空間を禁煙

宿泊施設、飲食店、金融機関、公共交通機関、物品販売店、運動施設、図書館・博物館・美術館、公園、社会福祉施設:建物内の公共的空間を禁煙又は厳格な禁煙

フロントロビー100m2以下の宿泊施設、客室面積100m2以下の飲食店は例外規定あり

 

今後の方向性としては、子供や妊産婦の受動喫煙防止、子供や妊産婦の喫煙防止、喫煙者の健康回復に向けた取り組み

健康日本21の目標値

平成22年喫煙率 19.5%を平成34年に12%に減らす

兵庫県喫煙率

H13:28.5% H16:26.5% H19:23.3%:H22 19.0% H25:19.2%

平成22年までは順調に減少していたが、全国的に再上昇傾向

県健康づくり推進実施計画 平成29年度 10%以下(男性19%以下 女性4%以下) 目標達成は困難

 

保健医療における禁煙治療

28年度診療報酬改定による変更

ニコチン依存症管理料の対象患者の拡大

いままではブリンクマン指数(一日の本数x年数)が200以上の条件があり若年者対象者から除外され保険で禁煙治療を受けることができなかった

35才以上のものはBI200以上、35歳未満ではブリンクマン指数の条件が廃止されたため若年者でも保険適応対象者となった

たばこは有害であり、たばこにより多数の死亡者が出ているのに販売が継続されていることが問題、他のものでは有害なものが売られていることはなく、食べ物などでは異物が少し混入しただけで自主回収となっているのに有害なたばこが平然と売られていることは大きな問題

日本では受動喫煙が原因で年間1万5千人が死亡していることが厚労省より発表された

 

5月31日はWHOが世界各国に『たばこのない社会を目指そう』と呼びかける『世界禁煙デー』、今年のテーマは『プレーンパッケージを推進しよう』。たばこの包装に健康被害の写真を全面的に表示し警告しようという呼びかけで、豪州などで実施され効果は実証済み。厚生労働省も『2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子供達をまもろう』をテーマにイベント開催予定

 

たばこ規制枠組み条約(FCTC)という国際条約が定めている受動喫煙防止の国際基準では、すべての公共施設、職場、公共交通機関は全面的に終日完全禁煙でなければならないとなっている。喫煙室設置の許容や例外事項、喫煙を特別に許可する人物の設定なども禁じられている。兵庫県の条例は、完全禁煙ではなく、JTが押し進めている分煙を認めているため世界基準から大きく遅れている。また、必ず罰則をつけて徹底する必要があるが、日本ではまだ喫煙を罰則付きで規制する法律はない。カナダ、オーストラリア、韓国など世界では、すでに法律により規制され罰則も定められているのに、日本は世界に大きく遅れている。

厳格に受動喫煙防止対策を実施した地域では、心筋梗塞が20%前後減少し、スコットランドでは飲食店従業員の血中ニコチンが減少、受動喫煙による疾患が30%減少した。その結果、医療費が下がり、生産性が上がり、メンテナンス費用がさがり、雇用者の責務も軽くなったといいことずくめである。日本では、盛んな分煙キャンペーンの悪影響で、分煙が解決策のように受けとめられている。禁煙推進側にも分煙は禁煙へのステップであるかのような認識を広める研究者がいたことも足かせとなっていた。分煙は禁煙へのステップどころか遅延策であるというのが世界の常識である。国際基準の分煙なし、例外なし、罰則ありの禁煙規制を国のレベルで実現すべきである。

 

PM2.5の発生源としてのたばこ

粒子状物質の中で粒径2.5μm以下のものをPM2.5

呼吸器系の深部まで到達しやすいことから健康影響が懸念されている

大気中に浮遊する粒子でPM2.5となるのは、液体燃料の燃焼時のばいじん、ディーゼル排気粒子、たばこの煙がある

1993年、PM2.5の大気中濃度と死亡比をみると、PM2.5濃度が高い都市ほど死亡比が高くなることが報告され、PM2.5が注目されるようになった

たばこを室内で1本吸うと室内のPM2.5濃度は約800μg/m3、たばこ3本で1600μg/m3を超える

PM2.5濃度が上昇すると、短期暴露でも当日または数日以内に死亡する人が増加するという報告が多数されている。PM2.5の日中平均濃度が12.8μg/m3以上で観察されている

大気汚染、粒子状物質に発がん性がある(Group1)であると国際がん研究機関が認定している。PM2.5はアスベストと同じ発がん性のある物質に分類されている。

日本におけるPM2.5環境基準は、1日平均35μg/m3、年平均15μg/m3

日本のPM2.5年平均値は高度成長期より徐々に低下し基準値程度になっている

一日平均70μg/m3を超えると不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らすことが推奨

喫煙者がいると屋内のPM2.5 濃度は上昇する

スコットランドの調査では、喫煙者がいない家庭では8μg/m3、喫煙者が一人でもいると71μg/m3

PM2.5は大気中だけでなく屋内でも発生し、タバコが大きな要因であり健康に影響をおよぼす

喫煙によって生活環境中のPM2.5 濃度は大気中よりも遙かに高い濃度となることから、禁煙はPM2.5対策としても最も有効な手段である

インフルエンザは減少、ロタウイルスによる感染性胃腸炎増加

今期のインフルエンザは流行り出すのが遅く、3月末にピークを迎え徐々に減少傾向となっていますが、まだまだ発生があります。

ロタウイルスによる感染性胃腸炎が例年よりも立ち上がりが早く、高いレベルで発生があります。

流行性耳下腺炎(おたふくは)昨年末から高いレベルで発生が続いています。

気を緩めずに手洗い、マスク、咳エチケットに努め感染予防対策を続けてください。

ゴールデンウィークの休診について

もうすぐゴールデンウィークになります。

最大10連休と長期のお休みがとれる方もおられるようです。

当院は、本年正月元旦が休日診療にあたりましたので、5月6日(金)7日(土)を休診とさせていたきますので、5月3日(火)〜8日(日)まで休診となります。

内服薬がなくならないように注意して、GW前4月中か5月2日に受診してただくようにお願いいたします。

インフルエンザ脳症で7例が死亡

国立感染症研究所によると、3月29日時点で今シーズンのインフルエンザ脳症が176例発症し、そのうち7例が死亡、インフルエンザ脳症は例年になく多く発症している。

第10週に死亡した3例は、1例が10歳代、2例が50歳代。

抗インフルエンザ薬には脳症や脳炎を予防する効果はなく、予防効果が報告されているのはインフルエンザワクチンである。

来シーズンには、脳症の予防のためインフルエンザワクチンを接種しましょう。

『加古川リウマチカンファレンス』に参加しました

『高齢者医療における関節リウマチの現状と展望』

高齢発症の関節リウマチは大関節に多いため、肩関節、股関節に関節痛をきたすリウマチ性多発筋痛症は鑑別が難しい。リウマチ性多発筋痛症は、2012ACR/EULARリウマチ性多発筋痛症暫定分類基準の基づいて診断する。

高齢者では、TNF阻害薬、トシリズマブは寛解率が低下するが、アバタセプトは高齢者でも、若年者でも寛解率に差はない。

AMPLE試験において、アバタセプトはACPA陽性高値である方が、寛解率は高くなる。治療によりACPA抗体は低下する。

アバタセプトの肺病変の有無での比較では、有効率に差はなく、継続率にも変化なし。

高齢者では、一般にeGFRが低下しており、CKD合併例が非常に多く、腎機能障害時にはsDMARDではアザルフィジンしか使用できないが、biologicDMARDは腎機能障害における使用制限はない。

以上より、高齢者でACPA陽性、肺病変、腎機能障害を有する活動性の高い関節リウマチではアバタセプトが推奨される。

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンは、TNF阻害薬、トシリズマブ、アバタセプトのどれでもワクチン接種後の抗体価は問題なく上昇するため重症化予防のため積極的推奨される。

雇入れ時健康診断、一般健康診断、抗体検査、各種ワクチン実施しています

オージオメーターを使用した雇入れ時健康診断、一般健康診断、医療関係の施設や学校などに入られる場合に必要な抗体検査、各種ワクチンを実施しています。

雇い入れ時健康診断¥9,000、一般健康診断は内容により¥3,500より設定しています。詳細については、お問い合わせください。

4月からの診療報酬改定伴う影響について

処方は原則1ヶ月以内、湿布は1回70枚まで、在宅自己注射管理料の見直し

 

長期投薬の取り扱い(医科)と分割調剤(調剤)
「30日超」の長期投薬に当たっては、処方医は「長期投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能か」を確認し、病状が変化した場合の対応方法と医療機関の連絡先を患者に周知。この要件を満たさない場合には、(1)30日以内に再診を行う、(2)200床以上の病院は、200床未満の病院や診療所に文書による紹介を行う旨を申出、(3)病状が安定しているものの、服薬管理が難しい場合は「分割指示に係る処方せん」を交付――のいずれかを行う。(3)の場合、処方医は処方せんの「備考欄」に、「分割日数および分割回数」を記載する。薬局は、分割調剤における2回目以降の調剤時は、患者の服薬状況等を確認し、処方医に情報提供する。

湿布薬の投薬の制限
・1処方当たり「70枚まで」規制新設
対象は外来患者で、院内、院内処方ともに制限される。「70枚超」を処方する場合には、調剤料・処方料・処方せん料・調剤技術基本料のいずれも算定できない。薬剤料も、超過分については算定不可。ただし、医師が疾患の特性等により、やむを得ず70枚超を投薬する場合には、その理由をレセプトに記載すれば算定は可能。また「70枚以内」であっても、湿布薬を処方する場合には、処方せんとレセプトに、(1)投薬全量、(2)1日分の用量または投薬日数――のいずれも記載する。

在宅自己注射指導管理料見し                           在宅自己注射指導管理料の指導内容を明確化した上で、頻度に応じた点数を設定するとともに、難病患者への指導管理を行った場合を重点的に評価する。

【在宅自己注射指導管理料】
1 複雑な場合 1,230点

2 1以外の場合

イ 月27回以下 650点

ロ 月28回以上 750点

注 「2」については、難病外来指導管理料との併算定を可能とする。

注2 導入初期加算 580点

『兵庫県肝疾患診療連携フォーラム』に参加

B型肝炎ウイルスは、DNAウイルスで核内に入って合成されるが、HIV等と同じレトロウイルスに分類される。

以前はe抗原のセロコンバージョンが治療目標であったが、s抗原のセロコンバージョンが現在の治療目標である。一般に使用しているHBs抗原では陰性となっても、高感度測定方法であるルミパルスHBs-HQではかなりの頻度で陽性になる。

HBVジェノタイプはA〜Jまであるが、日本ではCとDが多い。最近では、Aが増えてきており、急性肝炎から慢性化する可能性があり問題となっている。

治療は日本では、ジェノタイプCが多くインターフェロンが効きにくいため、経口の核酸アナログ製剤であり、ラミブジン、アデフォビル、第二世代のエンテカビル、テノホビルがある。テノホビルは、腎機能障害があり注意が必要であるが、胎児には影響が少ないため、妊娠希望や妊娠中に使用可能。核酸アナログを使用するとHBVDNAは陰性化するが、中止すると再び上昇する。治療中のフォローは、HBVコア関連抗原とHBs抗原で確認すると、現在の状態が確認できる。基本的には、核酸アナログは継続し続ける薬剤であるが、HBs抗原、HBVコア関連抗原がともに低下していると、中止してもかなりの場合再燃しない。

肝癌の発がんについては、C型肝炎と違って肝硬変になっていない、慢性肝炎、無症候性伽里からでも発症するため、B型肝炎のキャリアである場合にはしっかりとしたフォローが必要。

『肝炎治療費の助成』をご存じですか?

兵庫県では、肝癌予防のためB型肝炎、C型肝炎の治療費の助成を行っています。C型肝炎に対してインターフェロンフリー治療ができるようになり、副作用が少なく、95%以上のウイルス消失が期待できるようになりました。しかし薬剤は非常に高額であり、総額数百万するような薬剤による治療が、原則月1万円(もしくは2万円)で治療することができます。そのためには、肝炎治療医療費助成申請を申請にかかる診断書とともに健康福祉事務所もしくは保健所していただく必要があます。当院では、必要な診断書を記載することができ、すでにインターフェロンフリー治療を受けられた方もおられます。B型肝炎、C型肝炎でまだ治療をされたことがない方は、治療を受けられることをお勧めします。

『リウマチ医のための肺障害研究会』に参加しました

3月12日(土)に東京で行われました『リウマチ医のための肺障害研究会』に出席しました。

関節リウマチ治療のアンカードラッグであるMTXはBMIにより容量の調整が必要であり、BMI 18.5以下の方では、通常の用量を使用すると治療に有効な血中濃度の2倍以上にまで上昇し、肝機能障害の発生頻度がかなり高くなります。MTXの濃度を測定し、治療に有効な血中濃度を超える範囲の量に調整することにより、有効性を維持しながら副作用を減らすことができます。ただし、現在日本では測定することができません。

MTX関連リンパ腫の発生は、治療中のリンパ球の数が減少すると発生するリスクが高まる。リンパ球の中でもEBウイルス特異的CD8T細胞の減少が関連している可能性がある。リンパ腫が発生してから、MTXを中止した後のリンパ球数の推移を見ることにより、MTXの中止だけで改善するか、化学療法が必要なリンパ腫に移行するかの判断ができる。すなわち、MTXを中止後リンパ球数が治療前の数まで上昇すれば自然治癒し、リンパ球数が低いままであれば治療が必要なリンパ腫に進行する。

生物学的製剤のヒュミラ使用時の最適なMTXの投与量はどれぐらいか?併用するMTXを2.5mg 、5mg、10mgと増量すると、寛解率も上昇するが、10mgと20mgの間では差がなかった。MTXを併用するとヒュミラの血中濃度は投与量に応じて上昇するが、10mgと20mgの間では差がみられなかった。抗製剤抗体の出現率が、2.5mg、5mg、10mgと投与量が多くなると低下するが、10mgと20mgの間では差がなく、抗製剤抗体の出現率が有効性に関与しており、欧米の大柄な患者さんでも10mgで十分である。

新幹線が60分ほど遅れたため最後の講演しか聴くことができませんでした。

関節リウマチは経口薬だけで治る時代へ

トファチニブ(ゼルヤンツ)は、米国で2012年11月に世界で初めて承認された経口のJAK阻害薬で、日本でも2013年に薬価収載されています。細胞質内チロシンキナーゼ、複数の炎症性サイトカインのシグナル伝達にかかわるJAKファミリーを阻害する薬剤です。

リウマトレックスと呼ばれるアンカードラッグが使用できるようになってかなりリウマチのコントロールができるようになっていましたが、まだまだリウマトレックス抵抗性の患者さんはたくさんおられ、治療に難渋していました。レミケードやエンブレルなどの生物学的製剤が登場して、関節リウマチの治療は劇的に変わりました。関節リウマチの活動性をコントロールするというレベルではなく、治してしまう(寛解)を目指すことができるようになりました。

ゼルヤンツはこれまでの大規模臨床試験において、レミケードやエンブレルなどの生物学的製剤に匹敵する有効性と、効果発現の早さが示されています。生物学的製剤無効例においても有効性が期待でき、点滴や皮下注射ではなく経口薬であるという特長を有しています。

現在日本では、市販後前例調査中であり、リウマチと診断された患者さんがどなたでも使用できるわけではありません。

MTX8mg/週を超える用量を3ヶ月以上継続使用してもコントロール不良の患者さんに限定されています。これは、副作用が多く見られるためで、415例中133例で副作用がみられ、重篤な副作用は33例であり、帯状疱疹や肺炎などの感染症が多く、4例で死亡がみられ従来の生物学的製剤よりも多くみられています。今後、十分な臨床での使用経験が蓄積されれば、生物学的製剤よりも先行して使用されるようになり、経口薬だけで治る時代がやってくると思われます。

 

ゼルヤンツによる治療は当院でも可能です。上記のような条件があり、まだまだ高額な薬剤ですが興味を持たれましたらご相談ください。